C/2023 A3 (Tsuchinshan–ATLAS) — Part 14

10月20日(日)は義父母宅で水道屋さんになって、ウォッシュレットの給水を止める作業をした後、平安神宮前岡崎公園で開催されたフリーマーケットに立ち寄ってから、琵琶湖東側の湖岸緑地公園に行き、彗星撮影を試みました。昼間はこんなに晴れていても、夕方になると雲が広がる、残念な天候条件だったため、期待していたような写真が撮れずじまいでした。

今日、10月21日(月)は朝から晴れている。カメラやLED赤色灯、赤道儀のバッテリーを充電して、SDカードの残量を確認し、必要に応じてカードを初期化。今夜は流星群や天の川の撮影をする自宅近くのいつもの撮影地で彗星撮影に再チャレンジすることにしました。

この地は空が比較的開けていて、西の山は稜線の高度がおよそ20º。日没後の彗星を撮影するには決して最適な場所ではありませんが、19時過ぎ頃までなら彗星の頭が稜線の上なので、天候条件さえ良ければ、長い立派な尻尾をなびかせるこの大彗星の全体像が撮れるかもしれない。輝度およそ80%の月が東の空から昇るのは19:56であり、太陽が17:13に沈んで空が完全に暗くなってから30分ぐらいの時間はあるだろう。

18:24:21, OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 4.0s

北極星が目視で確認できるようになってから急いで赤道儀の極軸を合わせて、iOptron SkyTrackerに取り付けた雲台に、M.60mm F2.8 Macroを装着したOlympus PEN E-P5を載せて、明るい星でピント合わせ。iPhoneの方位磁石を頼りに西の空(経度250ºぐらい)、高度30ºぐらいにレンズを向けて、試し撮りした一枚に彗星C/2023 A3 (Tuchinshan-ATLAS) が写りました。全体像が捉えられないほどまだ、尻尾がこんなに長い!

18:24:41, OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 4.0s

彗星のコマが中央に来るようにレンズの向きを調整しましたが、長い尻尾は全部収まらない。赤道儀で追尾しているのだからシャッタースピードをもっと長くすべき。

18:27:21, OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 8.0s

立派な尻尾の全体像が捉えられるように、レンズの向きをさらに上方向に修正しました。そして、ISO設定値は変更せずにそのままで、露光時間を二倍の8.0秒としました。これでインターバル撮影ができる状態に。仕事から帰宅しているはずの同居人も呼び寄せた方が後悔しなくて良いだろう。

18:33:36 Nikon D7000, Tokina AT-X 116 PRO DX (AF 11-16mm ƒ2.8), ISO 1250, 24mm, f2.8, 8.0s

放ったらかしになっていた三脚固定のNikon D7000でもインターバル撮影を開始。タイムラプス動画にする予定だったので、Nikon D7000には超広角ズームレンズ、Tokina AT-X 116 PRO DXを装着。左の方にうっすらと天の川が見えていたので、レンズはもっと左に振れば良かったとちょっと後悔。

こちらが広角レンズで撮影し、YouTubeにアップロードした47秒の動画。

18:51:37, OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 8.0s

流星が写っているこの画像を撮影した頃、Nikon双眼鏡(7×50 7.3º IF WP Tropical) でも容易く彗星が目視で確認できたので、ご近所のBBさんをお誘いすることに。

最近、買ったばかりのNikon製双眼鏡持参で来られました。10分後には山の稜線に差し掛かって見えなくなると急かしたものだから、なぜか仕事に行く時の靴を履いて。

OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 8.0s x 25

StarStaxで25枚の画像を比較明合成(露出+0.8)したのが上の画像。

18:55:41 OLYMPUS E-P5 M.60mm F2.8 Macro, ISO 1250, 120mm, f2.8, 8.0s

全体像を捉えたこんな大彗星の写真が撮れるのは人生で最初で最後のような気がします。今後は急激に減光するので、迫力がある写真を撮影するには望遠レンズが必須になるかもしれません。

追記:

18:51:15 Apple iPhone 12 mini, ISO 8000, 26mm, f1.6 3.2

iPhone 12 miniで撮影した画像にも彗星が写っていました。中央のもっこりしたのは私の頭、そのすぐ右に沈もうとしている。

C/2023 A3 (Tsuchinshan–ATLAS) — Part 15へと続く。
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C/2022 E3 (ZTF) — Part 2

Macで使用できる天体観測用フリーウェアのStellariumがiOS用のStellarium Mobileとして公開されているので、iPhone 12 miniにダウンロードし、2月1日の近地点に接近しつつあるC/2022 E3 (ZTF)の位置を確認しました。彗星は現在、北極星と北斗七星を線で結んで、北極星よりの少し下辺りにあります。

北極星なら北側の屋根裏部屋から見えるので、Nikonの双眼鏡(7×50 7.3º IF WP Tropical)で確認すると、目視で淡い雲状の彗星を捉えることができました。肉眼では見えません。双眼鏡でも慣れた人でないと彗星を捉えるのは困難。

PEN E-P5, OLYMPUS M.25mm F1.8, f/2.0, 20.0s x 20 frames, ISO 1600
Tracked with iOptron SkyTracker, Stacked with StarStaX

外気温は零下でも幸いにも窓を開ければ屋内から撮影できるので、iOptron SkyTrackerで追尾しながらOLYMPUS M.25mm F1.8のレンズを装着したOlympus PEN E-P5でインターバル撮影を試みました。お隣のTVアンテナ右斜め上のぼんやりした明るい星がC/2022 E3 (ZTF)です。

PEN E-P5, OLYMPUS M.60mm F2.8 Macro, f/2.8, 20.0s x 13 frames, ISO 1600
Tracked with iOptron SkyTracker, Stacked with StarStaX

レンズをOLYMPUS M.60mm F2.8 Macroに交換して同じ設定値で撮影したのが上の画像。それぞれのレンズで20枚ずつ撮影しました。複数の画像ファイルをStarStaXを使って比較明合成し、少しクロップしてあります。

C/2022 E3 (ZTF) — Part 3へと続く。
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Nikon Binoculars Sky & Earth 8×40 CF Talon

Nikon Sky & Earth 8x40 CF Talon

今から16年前の1997年の春、米国ミシガン州デトロイト郊外に滞在していた頃、ちょうどHale-Bopp彗星(C/1995 O1)が近日点に到達しようとしていました。当時、住んでいたアパートの部屋から長い尻尾を輝かせたほうき星が西の空に肉眼でも見えていました。こんなに明るい彗星を見るのは人生で初めてのことだったので、そのより大きく輝く姿を観察して記憶に留めておこうと思い、急遽、手に入れたのがこの双眼鏡です。対物レンズの口径が40mm、集光力が高いので星空の観察には適しています。

Author: E. Kolmhofer, H. Raab; Johannes-Kepler-Observatory, Linz, Austria, Taken on April 7, 1997

16年も月日が経つと、記憶に留めたはずのあの美しい彗星は、実際にどんな感じだったのか、ちょっとあやふやになりつつあります。カメラで撮影しておけば良かったと後悔しています。と言っても上のような写真は到底、撮れませんが。しかし、画像があれば、その時の記憶を思い出すことができたはずです。当時はまだフィルムカメラの時代でしたが、コンパクトカメラなら手元にあったはず。記憶が定かではありませんが、多分、三脚がなかったのでしょう。

Nikon Sky & Earth 8x40 CF Talon

この双眼鏡は比較的軽量なので、手持ちで星の観察をするには適しています。3月上旬から北半球から見えるであろうPan-STARRS(C/2011 L4)の観察でも活躍してくれそうです。現時点ではPan-STARRSの3月上旬予想光度は明るくても3等ぐらいとのことなので、Hale-Boppのようには明るくならないと思われます。Hale-Boppの明るさを超えるかもしれないのは年末にやって来るISON(C/2012 S1)の方です。

Nikon Sky & Earth 8x40 CF Talon Box

ネットでこの双眼鏡のスペックを調べてみようとしましたが、同じ品名の製品に関する情報が検索でヒットしませんでした。スペックが不明であると、私は不安になる性分なので、どうしたものかと検索を続けましたが結果は芳しくありません。良く似た製品に関する情報はあるのですが。ひょっとしたら、双眼鏡が入っていた箱の中に使用説明書があるのではないかと思い、箱を探してみると、ありました。埃まみれの箱の中には製品保証書まで入ってました。その保証期間を見て驚きました。25年保証。この双眼鏡はまだ保証期間内ということになります。但し、効力を発するのは米国本土とアラスカ、ハワイ州のみとなっています。

備忘録としてスペックを下に転記しておきます。私と同じようにこの双眼鏡のスペックを探している人がおられるかもしれません。

Porro Prism Central Focusing Type
Magnification: 8x
Effective Diameter of Objective Lens: 40mm
Angular Field of View (Real): 6.3°
Angular Field of View (Apparent): 50.4°
Field of View at 1,000m: 110.1m
Exit Pupil: 5mm
Brightness: 25
Eye Relief: 18.3mm
Close Focusing Distance: approx. 5m
Interpupilary Distance Adjustment: 56mm ~ 72mm
Length: 163mm
Width: 174mm
Weight: 790g

付属品:双眼鏡本体、ソフトケース、ネックストラップ、キャリングストラップ、接眼レンズキャップ、対物レンズキャップ

Nikon Sky & Earth 8x40 CF Talon

主な特徴はアイレリーフが18.3mmと長いので眼鏡を装着したまま使用できること、クリック式の視度調節、BAK-4ハイインデクス・プリズムの採用、レンズのマルチコート、それと25年保証。

Nikon 双眼鏡 モナーク III 8x42D CF MONA38x42
ニコン (2010-02-19)
売り上げランキング: 30,105

DIY ND Filters for Nikon Binoculars 7×50 7.3º IF WP Tropical

Nikon Binoculars 7x50 7.3º IF WP HP Tropical

星ナビ5月号増刊付録の「日食観察プレート」を用いた工作シリーズの続編です。特別付録の使用上の注意に次のようなことが書いてあります。

「日食観察プレート」を使って双眼鏡を絶対に覗かないでください。目を傷めたり、プレートが熱で変形するおそれがあります。

この注意書きをさらにわかりやすくする写真があります。加工していない「日食観察プレート」を双眼鏡の接眼鏡(アイピース)にあてがって遠方を覗いているシーン。確かにそんなことをすれば目を傷めるおそれがあります。接眼鏡ではなく、対物レンズの前方にしっかりと固定すれば十分な減光が可能なので、問題はないと思います。

Nikon Binoculars 7x50 7.3º IF WP HP Tropical

重量が1350gとヘビー級なので、最近は全く使っていなかったNikonの古い双眼鏡。倍率7倍、対物レンズ有効径50mmの大口径で明るい(相対光度50.4)クラシカルな防水性双眼鏡。対物レンズの枠が着脱式になっています。

対物レンズの枠を外し、円形に切り抜いた「日食観察プレート」を枠の内側にはめ込んで、双眼鏡に戻しただけの簡単な工作です。できる限り真円に近い円形にプレートを切り抜くには、ドロー機能があるワープロソフトなどで描いた円をプリントアウトして型紙を作ると容易にハサミで切り抜くことができます。

換算600mmのカメラ用レンズで撮影した場合よりもオレンジ色の太陽は大きく見えます。黒点も観察可能です。実はこの工作物、製作したのは3日ほど前のことです。太陽を見ても眩しくないかどうか、目を傷めることはないかどうか、検証していました。そうした危険性はないようなので、公開することにしました。

注意:日食や金星の太陽面通過の観察を目的として工作した簡易減光フィルターを双眼鏡の対物レンズ前方に固定させる方法は、目を傷める危険性が全くないとは言えないので、参考にされる場合は十分に注意してください。特に、双眼鏡の視野に太陽を入れようとする時に、日光を直視する恐れがあります。太陽を直視する恐れがある場合は、十分な減光が可能な日食グラスなどを用いるようにすると安全です。

Nikon 遊 4×10 DCF 10º

Nikon 遊 4x10DCF 10º

倍率が4倍のNikon製双眼鏡を直営店で入手しました。色はエボニーブラック。ソフトケースとストラップが付属します。

Nikon 遊 4x10DCF 10º

Nikon製双眼鏡の中で最も薄く(厚さ19mm)、最も軽量(65g)で「視度調整機構」が省略されており、操作は眼幅調整とピント合わせのみ。レンズは明るくて見易いと思います。

Nikon 遊 4x10DCF 10º

直線的なデザインはシンプルそのもの。これだけ軽いと常時バッグに入れておけそう。

NIPPON KOGAKU Mikron 6×15 8.3º—Taken Apart and Cleaned

NIPPON KOGAKU Mikron 6x15 8.3º Coated

レンズ内側にカビが生えていた日本光学Mikron 6×15 8.3ºを分解し、対物レンズと接眼レンズの内側とプリズムをレンズ用クリーナー液できれいにしました。

NIPPON KOGAKU Mikron 6x15 8.3º Coated

プリズムは左右に2個ずつ、合計4個あります。プリズムの元の位置と向きを忘れないように注意しなければと思いながら、マイクロファイバークロスの上に置いてみて驚きました。プリズムの側面に「内、右、1」などと鉛筆で書いてありました。おまけに指紋まで付着しています。製造時に印が付けられたものと思われます。ひょっとしたら、第二次世界大戦前に製造されたものかもしれません。

NIPPON KOGAKU Mikron 6x15 8.3º Coated

綿棒でレンズ内側のカビと汚れを取り除いて、元通りに組み立て直すと、くっきり見えるようになりました。対物レンズの口径が小さいので明るくはありませんが、曇りが消えました。

作業の難易度: 5段階で1

NIPPON KOGAKU Mikron 6×15 8.3º Coated

P2265063

Nikonのサイトで調べてみたら、”Nippon Kogaku”の名称で双眼鏡の製造を始めたのは1917年、MIKRON 4xと6xの製造販売は1921年に開始。1959年にMIKRONからNikonにブランド名変更とありますから、この双眼鏡は1921年から1959年の間に製造されたということになります。シリアル番号らしき数字1077805が本体に刻印してあります。

レンズ内にカビが生えています。分解掃除すれば何とかなるかもしれません。しかし、適切な工具がないと光軸がずれる恐れがあります。修理のプロに依頼した方が良いかもしれません。

現在、ミクロンの名称で再び製造販売しているようです。Nikon 双眼鏡 ミクロン 6×15 CF

Comet Lulin

ニコンの双眼鏡を取り出し、今夜はルーリン彗星観測に挑戦。地球に最接近する、ちょうど今頃、2月23日夜から24日早朝は土星のすぐ近くを通過するので見つけやすく、観測に適しているとのこと。

双眼鏡の視野に土星を入れると、少し下に星雲のようなボヤッとしたもの、ルーリン彗星を容易に捉えることができました。このボヤッとしたもの、私が彗星を見たのは97年のヘールボップ以来でしょうか。12年ぶり?ヘールボップはマイナス一等級にもなり、肉眼で見れましたが、5等級のルーリンは双眼鏡が必要です。

Nikon Binoculars 7×50 7.3º

この手の古い双眼鏡を所有する人は昔の天文少年でしょうか。Coachのレザークリームで磨けばご覧の通りぴかぴかです。レンズも専用クリーナーできれいにしました。製造後30年の年月を経た双眼鏡とは思えないほどの光沢です。

1970年代前半に買ってもらったニコンの双眼鏡、口径50mm、ひとみ径7.1mmのレンズが明るくて、当時は天体観測に使っていました。私も当時は天文少年、地元の天文同好会のメンバーでした。先輩諸氏のアドバイスを聞いてこの機種を選んだように覚えています。

本来は海上での使用を意図したものだそうです。目盛が付いていて大きさか距離のいずれかがわかっていれば、もう一方が測定できるようになっています。現在も同様のモデルが販売されているようで、仕様から判断すると現在の製品名は「7×50トロピカルIF・防水型・HP(L字スケール入り)」のようです。IFとはIndividual Focusの略で片目づつのピントリングを回してピント合わせを行う方式です。これまで防水型であることは知りませんでした。

高倍率の望遠鏡で星を見るよりも低倍率の双眼鏡で見る星雲や星団の方がずっときれいです。但し、天頂付近を観察するには寝転んだ方が楽です。それでもずしっと重いので、数分で腕がだるくなるかもしれません。地平線に近い高度なら大型の三脚に専用アダプターを取り付けて固定すれば快適に観測できます。