Kenko/Tokina/Slik Online Shopに注文していたKenko製双眼鏡、Pro Field 7×32が届きました。箱入り娘による検品完了のようですが…
ポロプリズム式のクラシックな双眼鏡で、倍率が7〜8倍のモデルを京都駅前の家電量販店の双眼鏡売場で片っ端からチェックしていて、最も見やすくて質感が良いのがこの双眼鏡でした。(ショーケースの中の高級な製品はチェックしていません。)
メーカー希望小売価格は¥18,500(税別)ですが、家電量販店では1万円ぐらいの値が付いていました。Kenko Online Shopではアウトレット品が信じ難い¥7,380(税別)でした。これだけ低価格だと品質が気になるところですが、実機をチェックしているので問題ないでしょう。
高耐久アルミダイキャスト製ボディーにシボ革。
ブリッジなど、強度が求められるパーツも金属製だと思いますが、対物レンズ側のプリズムキャップは樹脂製と思われます。
この双眼鏡の最大の特徴はモールド成形によるガラス非球面レンズを採用し、収差が少なくなっていることでしょうか。点光源の星を見れば、収差の発生状況がわかるので、確認してみたところ、ピントが合えば星はレンズ中央部で点像に見えます。この価格帯の双眼鏡としては天の川が驚異的に綺麗に見えます。
箱入り娘による検品結果が右側対物レンズにマーク(毛が付着)してありました。すぐ下に白っぽいゴミが付着している。ブロアーで吹いても取れないということは、対物レンズ内側に付着したゴミのようです。これがアウトレット品の宿命なのか?
対物レンズ筒とポロプリズム部が一体になっていない、ツァイス型の双眼鏡なので、対物レンズ筒はねじ込み式であり、反時計回りに回転させれば対物レンズ筒が取り外せるはず。手で回しても緩まないので、ベルトレンチを使用すると、ある程度の力を加えた時にパキッと一気に緩みました。対物レンズ筒は樹脂製と思われます。
レンズ内側に付着していた白っぽいゴミをブロアーで吹き飛ばし、新たに別のゴミが付着しないよう、すぐに元に戻しました。この双眼鏡のレンズは国内生産のようですが、組み立てはフィリピンとのことです。ゴミは組み立て時に混入したものと思われます。防水機能がないツァイス型は、カビの発生やゴミ混入の恐れがありますが、容易に分解できるメリットもあります。
ゴム製見口が薄っぺらいですが、眼鏡を外しても無限遠にピントが合います。
別売の三脚取付ホルダーはこのネジに取り付けます。
以下に主な仕様をまとめておきます。
Objective Lens Diameter | 32mm |
Lens Coat | マルチコート |
Magnification | 7x |
Brightness | 20.8 |
Actual Field of View | 8.5º |
Apparent Field of View | 54.9º |
Field of View at 1,000m | 148.6m |
Exit Pupil | 4.57mm |
Eye Relief | 19mm |
Nearest Focusing Distance | 5m |
Dimensions | H125 x D58 x W18 |
Weight | 630g |
Interpupilary Distance Adjustment | 58.5~71.5mm |
仕様表には記載がありませんが、プリズムは製造コストが抑えられるBK7を採用しているようです。ひとみ径(Exit Pupil)の二乗が明るさ(20.8)になります。星空観察に最適とされる7×50の双眼鏡は、ひとみ径が7.14mmであり、明るさは51.0なので、この双眼鏡と比べると理論上は二倍以上、明るく見えることになります。しかしながら、加齢と共に私の暗所瞳孔径は7mmも開いてないだろうから、双眼鏡のひとみ径が7.14mmもあっても無駄が発生しているだけで、明るさは20もあれば十分なのかもしれません。(暗所瞳孔径の平均値は20代で8.0mm、30代で7.0mm、40代で6.0mm、50代で5.0mm、60代で4.1mm、70代で3.2mm、80代で2.5mmとするデータがあります。)性的に興奮すると瞳孔は平常時よりもちょっと開いて一時的に若返るそうですが、残念ながら星を見ながら性的に興奮することはありません。
高級なBaK4と比べて低価格のBK7は光の屈折率が低く、接眼レンズと人の瞳孔に達する光量が少なくなる傾向があるので、BK7のプリズムを採用した双眼鏡の明るさはさらに暗くなるはずです。しかし、実際に星空を観察すると、BK7プリズム採用のこの双眼鏡はBaK4プリズム採用のより明るく見えるはずの高級な双眼鏡と比べても、遜色なく綺麗にくっきりと見えます。この現象は光害により、空全体が明るくなっているので、明るく見える双眼鏡で星空を見ると、背景となる空の明るさが邪魔になり、コントラストが低下して暗い星が見づらくなるのが原因と考えられます。
ひとみ径4.57mm、明るさ20.8のこの双眼鏡が、加齢と共に開かなくなった私の暗所瞳孔径に合っているのかもしれません。