Good Bye, Pan-STARRS (C/2011 L4)!

DSC_4461

3月10日に近日点を通過し、0〜1等の極めて明るい彗星になったパンスターズ彗星(C/2011 L4)は、周極星となり、一晩中観察可能になりました。しかし、どんどん暗くなっているので私が現在所有する機材で観察+撮影できるのは最後かと思い、琵琶湖岸に撮影に行って来ました。換算150mmぐらいの焦点距離で撮影した画像で確認することができましたが、残念なことにピントが少しずれていて公開できません。

パンスターズ彗星は肉眼でも見えるだろうと予想されていましたが、結局、私は肉眼では観察できずじまいでした。彗星が最も明るかった3月中旬は、日没後の薄明の空だったので、確認するのが困難であったことがその主な理由です。上空の黄砂が毎日のように日本列島を覆っていたことも、さらに条件を厳しくしていたと思います。

それでも双眼鏡で容易に確認できる日が何日かありました。4月4日と5日早朝にはアンドロメダ銀河との感動的なランデブーを撮影することができました。一つ、心残りがあるとすれば、観察可能であった短い時間は写真撮影にほぼ専念していたので、脳裏にはっきりと残るほど、双眼鏡での眼視観察ができなかったことです。

次にやって来る明るい彗星、ISON(C/2012 S1)は黄砂の影響がない、空が澄んだ季節なので思う存分、双眼鏡で観察してやろうと考えています。写真撮影は換算50mm〜75mmぐらいの標準レンズで十分と思わせるほど明るくて長い尻尾を見せてくれることを願っています。

星の観察と撮影は年末まで暫くお休み?ではなく、次は来週5月5日と6日の丑三つ時から明け方にかけて、観察できるみずかめ座η流星群です。午前3時過ぎに昇る光度11.27%(5月6日)の三日月はそれほど大きく影響しないと思われます。極大は6日午前10時頃(JST)です。輻射点が東の地平線に昇る午前1時半頃から夜明け前までが観察に適しています。

Comet Pan-STARRS — Rendez-Vous Avec La Galaxie d'Andromède (M31) —Part Two

At the Mouth of A Stream Flowing Into Lake Biwa

“The early bird catches the worm.”という英語の諺がありますが、二日連続で早起きした鳥は虫を捕らえることができたのでしょうか。少なくともこんな幻想的な景色は早起きしない限り、見ることができないのは事実です。ひねくれ者の私は、この諺を初めて聞いたとき、早起きした鳥ではなく、朝早くから辺りを徘徊した虫はどうなのかと思い、遅くまで寝ている自分を正当化しようとしたものです。

連日のように彗星撮影を繰り返していると、一連の手順に体が慣れ、撮影地に到着してから機材を設定して一枚目のシャッターが切れる状態になるまでの時間が大幅に短縮されました。慣れない頃は30分近く要していたのが、今では5分〜10分ほど。

P2283210

最も効率的と思われる手順を下にまとめておきます。

  1. 足場が安定していて視界を遮るものがないところに自由雲台を取り付けた三脚を設置する。
  2. ポーラーメーターの角度を観察地の緯度に合わせ、Vixen POLARIEのアクセサリーシューに取り付ける。
  3. カメラ用自由雲台を取り付けたVixen POLARIEを三脚に固定する。
  4. 磁気偏角を考慮に入れ、方位磁石の目盛と水準器を参考にしながら極軸を合わせる。(撮影地が琵琶湖周辺であれば方位角はプラス7°に合わせる。)
  5. 極軸がずれないように注意しながら、ポーラーメーターをポラリエから取り外し、被写体である彗星のおよそ2分後の高度になるよう、ポーラーメーターの角度計を設定し、一旦、ポケットにしまっておく。
  6. カメラをポラリエに載せて、星が点像に写るよう、明るい星、月、あるいは遠くに見える街灯の光を用いてマニュアルでピントを合わせる。(レンズは望遠端に設定し、液晶モニターを拡大しながら慎重にピントを合わせる。)
  7. ポケットからポーラーメーターを取り出して、カメラのアクセサリーシューに取り付ける。
  8. 磁気偏角を考慮に入れ、方位磁石の目盛と水準器を参考にしながら被写体の高度、方位角にカメラが向くようにする。
  9. ポラリエの電源を入れて、追尾を開始する。
  10. レンズを広角端にズームアウトし、その時の空の暗さを考慮に入れてISO、F値、露光時間を設定する。
  11. シャッターを切り、試し撮りをする。
  12. フレーム内に被写体である彗星が入っていること、点像に写っていることを確認し、同時に適正露出になるよう、必要に応じてカメラの設定を修正する。(星が流れて写っている場合は、極軸がずれているので、手順3に戻る。)
  13. 必要に応じて焦点距離を調節して撮影を続ける。
Comet Pan-STARRS and M31 (3226-3229 stacked)

広角端の70mm(換算105mm)でフレームのほぼ中央に彗星を捉えることができたので、数枚、露出を確認しながら撮影した後、思い切って望遠端の300mm(換算450mm)にレンズを合わせて30秒露光で連続撮影しました。4枚の画像ファイルをStarStaxでスタックしたのが上の画像。パンスターズ彗星とアンドロメダ銀河(M31)のランデブーを引き裂くように流星が流れています。人工衛星かと思い、SkySafariで調べてみましたが、この時刻(午前4時28分頃)に彗星とアンドロメダ銀河を引き裂くような軌道で通過する人工衛星は存在しないようです。

上の画像は換算450mmの望遠レンズを使い、30秒x4枚(合計2分)の露光であることを考えると、この簡易赤道儀の追尾精度の限界に限りなく近付いていると思われます。アンドロメダ銀河をもっと明るく写すには露光時間が足りません。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) and M31 Over Lake Biwa

前日に失敗したので、この日は35mm単焦点(AF Nikkor 35mm f/2D)でもパンスターズ彗星がM31に急接近する様子を撮影しようと再挑戦してみました。何とか湖面と同じフレーム内に収まるよう、カメラを縦置きにしてみましたが、夜明け前の空が次第に明るくなり、長時間の露光ができないのでこの程度が限界でした。

Comet Pan-STARRS — Rendez-Vous Avec La Galaxie d’Andromède (M31) — Part One

早朝の方が観察+撮影条件が良くなったパンスターズ彗星を再び捉えようと、去年の金環日食観察地(和邇川河口)にやって来ました。自宅を出た時は曇っていたけれども天気予報を信じることにしました。河口の先端付近なら街灯がなく、彗星が昇る北東方向はかなり低空まで見渡すことができます。撮影地に到着し、機材を設置したのが午前3時半頃。30分後にはISS(国際宇宙ステーション)が北西から東に向かって琵琶湖の遥か上空を通過する予定であることをSkySafariで確認済み。彗星は湖面に浮かぶブイのすぐ上の方にあるはずですが、今は薄い雲の向こう側。オレンジ色のライトが点滅するブイとその右側に見える立て看板が邪魔なのですが、すでにポラリエの極軸を合わせた後なので、簡単には移動できず。

そうこうしいるうちにシミュレーション通りにISSが到来。ISO1250、露光30秒で連続して撮影した3枚の画像をStarStaxで合成してあります。慌ててフレーム内に維持しようとして、不用意にカメラの向きを変えてしまったのが悔やまれます。しかし、ISSの撮影は人生初の体験だから、これだけ撮れれば上出来。

レンズ焦点距離は11mm(換算16mm)ですから、どれほどISSが明るい飛行物体であるのかが写真から読み取れると思います。30秒間でこの距離を移動しています。

2週間ぶりに捉えたパンスターズ彗星。左下にあるもやっとした天体はアンドロメダ銀河(M31)、彗星の尻尾は太陽と反対側の左上方向に伸びています。月とランデブーした時は天候条件に恵まれなかったので、アンドロメダ銀河とのランデブーは是非とも撮影したいと思っていました。

200mm(換算300mm)にズームインして撮影後、アスペクト比を変更しながらクロップしたのが上の画像。30秒露光の3枚の画像をスタック(合成)してあります。3.4等のアンドロメダ銀河よりも明るいので、現在の彗星の光度は3等星ぐらいかと思われます。7x50mm双眼鏡による眼視での観察は不可能でした。もう少し、高度が高くて、空が澄んでいれば、肉眼でも確認できるかもしれません。光害が少ないところならアンドロメダ銀河は見えますから。しかしながら、緯度がそれほど高くはない本州から肉眼で観察することはほぼ不可能であり、すでにこの彗星の観察、撮影はマニア向きです。

和邇川河口から見る夜明け時の琵琶湖。この地は私のお気に入りスポットの一つになりました。この写真のみ、Sony DSC-RX100で撮影。

The Sun Setting in the Japan Sea

DSC04000

天気予報では夜から下り坂。何とか日没1時間後ぐらいまでは天気が持ってくれることを祈りながら、三度目の正直で越前海岸を目指しました。左手に夕日を見ながら「しおかぜライン」を北上して、南越前町駐在所がある海辺の公園に駐車。今日はMazda RX-8でやって来ました。日本海に沈む夕日が車のボンネットに反射しています。

三度目なのでもう、道のりは覚えてしまいました。目的地はGoogle Mapsで日本海に落ちる太陽に設定しました。動画は、RX-8ダッシュボード上に取り付けたEXOMOUNT Universal Car MountにiPhone 5を固定して標準Camera Appで撮影したクリップをiMovieで編集しました。Flickrでは動画は「長い写真」と見なされ、制限時間が90秒になっています。再生するにはAdobe Flash Playerが必要です。

DSC04022

この時期、パンスターズ彗星が沈むのはずっと北(右)の方になります。右の方にある岬の辺りに彗星は沈む予定ですが、太陽が眩しくならないほど西の空は薄曇り。

DSC_2997

日没30分後ぐらいからAF Nikkor 35mm f/2Dを装着したNikon D7000でインターバル撮影を繰り返しましたが、彗星は捉えずことができませんでした。アンドロメダ座β星のミラクは見えていましたが、その下には水平線と平行するように何層にも重なる薄い雲と靄があり、残念なことに今日も彗星の姿は見られず。

露天風呂「漁火」まで北上したら、臨時休業。少し、戻った国民宿舎かれい崎荘の露天風呂「日本海」で入浴することにしました。入浴料は同じ500円ですが、「漁火」の方が少し広くて快適でした。

DSC04038

この前と同じように敦賀のラーメン屋台で遅い夕食。今回は揚げたニンニクが香ばしい「赤天」の中華そば。

Orion and Clouds

Orion and Clouds

日没直後のオリオン座は南西の空、もうこんな低い位置にあります。住宅街の光と星の写真、私にとっては珍しい構図です。東の空に昇ってきた月の明かりが筋状に並んだ雲を低い位置から照らしているので、遠近感が感じられます。

北西の低空には雲があり、この日もパンスターズ彗星を捉えることは不可能でした。昨夕、彗星が地平線に沈んだのは午後7時53分。山の高度が5°であれば、午後7時20分頃までは雲がなければ見えていたはず。午後6時14分の日没から30分後の6時44分から36分間は観察と撮影を行うことができたはずですが、観察地に到着して一枚目の写真を撮ったのが午後7時過ぎだったので、出遅れました。日没後45分が経過すると、空はかなり暗くなり、薄明時の設定では露出アンダーになりました。ISOを1000以上に感度を上げて、露光時間を10秒以上に長くしても、光害が少ないところなら適正露出が得られるようです。次回は、露出時間を伸ばし、広角よりの標準レンズで撮影してみようと考えています。

北欧の地、ノルウェーではすでにアンドロメダ銀河と彗星を同じフレームに収めた写真を撮っている人がおられます。こちらの素晴らしい画像は、ISO1600、f/2.8、露光時間は13秒でレンズ焦点距離は50mmだそうです。カメラボディーはFXフォーマットのNikon D700。クロップしてあるそうですが、私のDXフォーマットのカメラ(Nikon D7000)なら焦点距離35mmの単焦点レンズを使えば、同じような画角になるはずです。

ぼちぼち、日の出前の北東の低空に彗星が見えるはずですから、早朝も狙い目です。例えば、明日3月30日は日の出が午前5時46分、その30分前まで観察+撮影可能であるとすれば、彗星が地平線に姿を現す4時3分から1時間近くの時間的余裕があります。北東の山の高度が5°とすれば午前4時39分頃から30分ぐらいが観察+撮影に適した時間帯になります。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4)

DSC03861

昨夕は地表付近の黄砂はなし、大気中には少しあるけれども空は快晴でした。黄砂で空が霞み、大津の夜景以外は何も見えなかった火曜の観察場所から湖周道路を少し北上した所にある公園にやって来ました。いつものように商売道具を設置して「彗星キャッチャー」をカメラに載せて位置合わせをしてみたら、パンスターズ彗星が山の稜線に落ちる頃には前景(フレーム内右)に入れようとした樹木が視界を遮ることに気付き、この後、100〜200mぐらい、前方に移動しました。

DSC_2541

Sony DSC-RX100の夕日モードで撮影した西の空には2機の飛行機が西に向かって飛んでいます。もし、1機だけなら、彗星であると勘違いする人がおられるかもしれません。彗星の尻尾はこの時期、右上方向に伸びますから確かに紛らわしいのですが、こんなに明るくは見えません。

DSC03855

この時期、彗星は太陽よりも少し北側に沈みます。尻尾は太陽と逆方向に伸びるので、右上方向に伸びているはずです。

DSC03881

移動後の西の空。彗星はずっと右の方、すでに7x50mmの双眼鏡で視野内に捉えています。少し北側にあるアンドロメダ座の視等級2.05等星のアルフェラッツが先に見えたので、彗星は2.05等級よりも暗くなっていると思われます。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4)

琵琶湖と対岸から見る大津の夜景と彗星!夜景と低空の霞に負けないぐらいまだ明るいパンスターズ彗星をカメラで捉えました。焦点距離100mm(換算150mm)でアスペクト比を16:9に変更しながらクロップしてあります。5秒の露光で追尾していますから街灯が少し流れています。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) 2680:2684 Stacked

露光5秒 x 5枚をスタック(比較明合成)し、クロップして拡大したのが上の画像。ノイズを目立たなくさせるためにホワイトバランスを大幅に青寄りに補正し、その分、彩度を下げています。彗星の核はほぼ点像に写っているのでVixen POLRIEの極軸が偶然にも合っていたのでしょう。比叡山の稜線にあるライトが左上から右下に向かって流れているのはインターバル連続撮影した痕跡。換算150mm、25秒の露光で三脚固定撮影なら街灯は点像で、逆に彗星が大きく流れて写ります。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) 2722:2726

焦点距離200mm(換算300mm)で露光5秒 x 5枚をスタックし、クロップして拡大した画像をもう一枚。スタックする前の元画像のExifデータによれば、彗星が山の稜線下に沈んだのが午後7時14分。山の高度は4°23’ということになります。こうしたデータは年末の大彗星ISON (C/2012 S1)の観察時に役立つかもしれません。

DSC03883

理想としては、焦点距離70〜100mmぐらいで夜景と湖を視界に入れ、山の背後に落ちて行く彗星の三脚固定撮影ですが、この後、まだ撮影チャンスがあるかどうかは天候と黄砂の濃度次第。Sony DSC-RX100の三脚固定夜景モード、広角(換算28mm)で撮影した上の画像にも彗星は写っています。等倍に拡大しなければ判別できないレベルです。

City On The Lake

City On The Lake

昨夕も予報通りに黄砂による霞の影響で、彗星は確認することができませんでした。大津プリンスホテル後方に見える山は低くなっていて、ここなら西の空、高度3°ぐらいまで、明るい星なら見えるはずと思ったのですが。画像はSony DSC-RX100の三脚固定夜景モードで撮影しました。

Asian Dust Obscures Comet Pan-STARRS (C/2011 L4)

DSC_2252

3月16日、17日の週末は晴れたけれども空は霞んでいました。彗星観察+撮影に出かける前に、気象庁のサイトで黄砂情報を確認していますが、それが不十分だったようで、この土日はパンスターズ彗星を確認することはできませんでした。気象庁黄砂情報は「地表付近の黄砂の濃度予測」と「大気中の黄砂の濃度予測」の二つの予測をプルダウンメニューから選べるようになっています。私は出かける前に「大気中の黄砂の濃度予測」を確認していなかったのです。車のボディーが黄砂で汚れていないから今日は大丈夫だろうと思い、西の空が開けた最適な観察地まで片道100km近くもかけて遠出したら、西の空は霞んでいて撮影したら水墨画のような画像しか撮れないことになってしまいます。

洗濯物や車の汚れに影響するのは「地表付近の黄砂の濃度予測」の方です。空の透明度に影響するのは高さ23kmまでの大気中と高さ1kmまでの地表付近の両方の黄砂濃度であり、それらいずれかの値が高いと空は霞んで見えるということになるようです。南越前町駐在所の近くまで「しおかぜライン」を北上し、今日はここで観察しようと日没2時間前から準備。

DSC_2249

太陽が日本海に沈むのを待ちながら近くの漁港で一枚。

DSC03768

日没30分後の彗星の位置、方位角280°ぐらいの方角に岩を前景として入れようと、車を停めた南越前町の役場駐車場内をうろうろしながら機材の設置場所を選定。前景とする被写体が比較的近くにある場合、僅か1メートルでも移動すると、景色が変わります。

DSC_2244

日没が近づくに連れて穏やかだった海面に小さな波が押し寄せ、強い風も吹いてきました。

DSC03774

機材一式を車から降ろして設置を完了した頃には西の空は薄い雲と上空の黄砂による霞の影響で、日本海に沈む太陽すら見えない状態でした。それでも雲の切れ間から彗星が現れるかもしれないと期待しつつ、撮影と双眼鏡による観察を彗星が水平線に沈む午後7時半頃まで続けました。双眼鏡で確認できなかったので、300枚近くの水墨画のような写真にも写っていないことでしょう。予約録画したF1開幕戦、オーストラリアGP決勝が観れるよう、温泉には寄らずに、敦賀のラーメン屋台経由で9時半頃に帰宅。

DSC03784

天気予報によると、明日は晴れそうですが、「大気中の黄砂の濃度予測」を調べると、19日15時の予測図では北海道と沖縄を除く日本列島上空は黄砂に覆われています。

Magnetic Declination

Vixenのポーラーメーターを「彗星キャッチャー」として使用していますが、これまでカメラの向きが少し、南にずれていて、ズームレンズの焦点距離を200mm(換算300mm)などの望遠に設定すると、フレーム内に彗星が入らず、70mm(換算105mm)設定時にフレーム内に捉えたとしても、右寄り(北寄り)になってしまうという問題がありました。その原因が判明したようです。カメラボディーかレンズの電子部品とポーラーメーターが干渉しているのかもしれないと疑っていましたが、アクセサリーシューにポーラーメーターを取り付けた場合、干渉はないようです。原因はもっと基本的なところにあるのではないかと思うようになりました。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) Setting Over Mt. Hiei

小型の簡易赤道儀であるPOLARIEで極軸合わせをする際には観察地により、異なる「磁気偏角」を考慮して、ポーラーメーターが指し示す磁北を7°ほど東にずらして補正していますが、カメラのアクセサリーシューに取り付けてカメラの向きを合わせる時は彗星の位置情報をもとに「磁気偏角」を考慮した補正を行っていなかったのです。北方向におよそ7°ずらすべきなのに、SkySafariから得た方位角をそのまま使用してカメラの向きを合わせると、当然ながら、カメラは南におよそ7ºずれる。フレーム内に彗星を捉えることができた場合でも彗星の位置が右端の方(北寄り)に写っていたのはこのためでしょう。

今夜、パンスターズ彗星は午後7時30分頃に地平線の下に沈みます。日没時刻は午後6時5分頃。観察+撮影予定地における日没30分後の彗星の位置は方位角278°、高度+10°。太陽は方位角269°で沈むので、太陽が沈んだ位置を地表にある目印を元に覚えておき、そこから北に約9ºのところに彗星は沈むということです。日没30分後にポーラーメーターを元にカメラの向きを合わせる際は、磁気偏角を考慮して、北におよそ7ºずらして285ºに合わせれば、水平方向に関しては中央に彗星を捉えることができるはずです。ポーラーメーターの角度を10ºに合わせておけば、垂直方向も中央に入るはず。

DSC03454

地平線(水平線)まで西の空が見渡せる観察地なら、日没30分後からおよそ一時間ほど観察できます。昨夜は靄と雲の影響で撮影することはできませんでした。今夜は遅くから下り坂の天気予報ですが、7時半頃まで天候条件が持てば良いのですが。これから、この前、下見に行った越前海岸に出かけようと計画しています。

Comet Pan-STARRS Setting Over Mt. Hiei

DSC03758

午後5時頃まで残っていた雲が切れて、日没頃には西の空は快晴。13日に薄い三日月とパンスターズ彗星を同じフレーム内に捉えたいという希望は叶えられなかったけれど、14日は天候条件に恵まれたので、11日に行った琵琶湖東岸湖周道路沿いの公園に再びやって来ました。この日は前景に樹木を入れようと、カメラアングルを考えて撮影位置を決定。

panstarrs 1895:1899

双眼鏡で確認できる前に焦点距離100mm(換算150mm)で撮影した画像に彗星が写っていました。またもや彗星は右の方に写っています。この日は三日月の下の方、少し北よりの位置だったので、容易に双眼鏡で確認できるだろうと思っていましたが、実際に確認できたのは午後6時45分頃。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) Setting Over Mt. Hiei

慌ててカメラの向きを修正し、焦点距離を200mm(換算300mm)にズームイン。前景にするはずだった樹木はフレームの外。シャッタースピードを1秒か2秒に変更したはずが、0.6秒のままになっていました。ISOは320。彗星の核はほぼ点像になっていますが、過度なレベル補正でノイズが酷い。

panstarrs 1952:1956

インターバル撮影した5枚をStarStaxで合成すると、ダークフレームを引き算していませんが、ノイズはずっと少なくなります。

panstarrs 1900:1904

高度が高くなり、空が暗くなった分、彗星はよりくっきりと尻尾が双眼鏡で見えるようになりました。視力に自信がある人は肉眼でも確認できるのではないかと思います。今回、初めてカメラのライブビューで彗星を捉えてからシャッターをリリースすることができました。

カメラのライブビューや双眼鏡で確認できずに撮影する時間帯、特に光量が刻々と変化する薄明時の状況ではシャッタースピードの下限を考えながら、ISOはAutoに設定し、絞り優先などのモードにすべきか思案中。次回は露出の設定を失敗しないよう、より慎重に撮影します。

Comet PANSTARRS and Moon

今夜はこういう写真が撮りたいと思い、先週末に越前海岸まで下見にも行ったのですが、生憎の空模様。上の画像はSpaceweather.comのREALTIME IMAGE GALLERYに投稿されたものにリンクを張っています。

アメリカ、アリゾナ州マリコパで3月12日(現地時刻)に400mmの望遠レンズを使い、ISO 1600、f/5.6、露光2秒で撮影されたようです。薄い三日月の光る部分は山の稜線の下に隠れていてあたかも満月のように写っています。月と共に尻尾をなびかせながら、彗星が沈んで行くシーン、こんな写真が撮りたかった。

Comet PanSTARRS 01
Photo taken by Quad-Duo Photography

Flickrで”PANSTARRS”で検索すると、三日月と彗星を同時に捉えた素晴らしい写真がたくさんヒットします。上にリンクを張った写真は、アリゾナ州フェニックスの夜景を前景に見事に彗星を捉えています。他にも合計8枚のGalleryを作成しました。緯度が低い地域は日没時の彗星の高度が高く、彗星が地平線の下に沈むまでの時間的余裕があるので、撮影には有利です。そのためか、今回集めた写真のほとんどが緯度の低い地域で撮影されています。

Comet Hunters in Kyoto

DSC03666

一昨日は夕暮れ時に西の空が厚い雲で覆われて見れなかったパンスターズ彗星(C/2011 L4)を再び、京都の夜景と共に見ようということで、東山山頂公園にやって来ました。同じ目的でこの観察スポットを訪れた人が10人ぐらい、機材を設定しながら日が落ちるのを待っています。彗星が見れるかもしれないことを知らずにやって来る人も入れ替わり立ち替わり。

DSC_1704

京都市街を東から一望できるこの観察地は日が沈む西の空は地平線まで見渡せることができます。上の画像を撮影した時刻は午後5時56分。太陽は高度0°36’の位置にあるはずですから、高度がほぼ0°まで見えていることになります。パンスターズ彗星が地平線の下に沈む午後7時10分まで、一時間近くも観察できます。但し、光害と靄の影響で晴れていても地平線近くの彗星を肉眼や双眼鏡で確認するのは極めて困難。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4)

2時間近く、彗星探しを続けましたが、結局、双眼鏡(Nikon 7×50 7.3° IF WP Tropical)で視野に捉えることはできずに終わりました。この日もVixen POLARIEで追尾しながら、インターバル撮影を繰り返しました。彗星キャッチャーとしても使用しているポーラーメーターがカメラのボディー、レンズと干渉しているらしく、レンズの向きは実際よりも北に少しずれています。撮影したほとんどの写真はズームレンズの焦点距離を200mm(換算300mm)に設定していたので、フレーム内に彗星は入っていなかったようです。保険代わりに125mm(換算187mm)にズームアウトした数枚に何とか彗星を捉えることができました。やはり、北方向(右寄り)にずれているので、上の画像、右上の方に彗星が写っています。

残念ながら京都の夜景と彗星を同じフレームに収めることはできませんでした。今後、彗星は減光しながら太陽からどんどん離れて行くので、日没後一時間が経過して空がほぼ完全に暗くなってからでも観察可能になります。山の稜線が高度およそ5°の琵琶湖東岸から観察、撮影した方が、光害の影響が少なくて済むと思われます。

「パンスターズ彗星を見つけようキャンペーン」の観察スポット募集サイトに注意喚起する案内が付け加えられました。夕暮れ時の西の空には軌跡が短い飛行機雲が見えることがよくあります。飛行機雲が二本出ていると、彗星のイオンテールとダストテールのように見えることがあり、飛行機雲を彗星であると誤認して「見えた」と報告する人があまりにも多いのでしょう。3月9日に「見えた」と報告している人のほとんどは誤認していると思われます。

DSC03674

例えば、上の写真。沈む太陽よりも北方向に飛行機雲が写っています。飛行機はこちらに向かっているようであり、尻尾が下を向いているので、飛行機雲であることがわかります。北西方向に飛行機が向かっているのであれば、飛行機雲が彗星の尻尾のように南東に伸びるので、さらに紛らわしくなります。上の画像に写っている飛行機雲のように、彗星が明るければ簡単に確認できるのですが。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) Setting Over Lake Biwa

DSC_1636

今日は朝から快晴、黄砂も飛んでいない澄み切った空。こんな日に眼視で確認できなければ永久に見えないだろうと思わせる最高の条件でした。今日は琵琶湖東岸、守山にある琵琶湖レークサイドゴルフコースに近い、湖周道路駐車場に車を停めました。Vixen POLARIEにカメラを載せ、ポーラーメーターで方角を合わせて追尾しながら撮影を開始したのは日没の午後6時少し前。

ISO100、シャッタースピード5秒では露出オーバーで真っ白。f/5.6、1秒の露光でも空は完全に白飛び状態。6時25分頃になって漸く、同じ設定で夕空の色になりました。三脚に載せたNikonの双眼鏡、7×50 7.3° IF WP Tropicalで彗星を探してもそれらしき姿はなかなか視界に入らない。対岸の山の高さはおよそ5°。SkySafariによると、午後6時40分に彗星の高度は4°26’。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) Setting Over Lake Biwa

午後6時38分頃にやっと見つけました。ポーラーメーターを使って設定したはずの方角が北に大きくずれていました。上の一枚目の写真にも写っているのですが、彗星の光が弱いことと空が完全に暗くなっていないことが原因で、方角が分かっていても肉眼では確認できないレベルです。

stackedImage

2枚目と3枚目の画像はクロップしてアスペクト比を16:9に変更してあります。レンズの焦点距離は70mm(換算105mm)に設定してありますが、クロップしてあるので拡大されています。3枚目は数枚の画像をスタックし、さらに拡大率を高めて見易くしています。焦点距離を100mmに設定していれば、フレーム内に彗星は入っていなかったはずです。ポーラーメーターがカメラボディーかレンズの金属部分の影響を受けて干渉したのかもしれません。やはり、基本は双眼鏡で彗星の位置を確認してから、レンズを向けるべきなのでしょう。

panstarrscamp

「パンスターズ彗星を見つけようキャンペーン」のサイトに観察スポットを報告しました。日曜に行った、東山山頂公園展望台で撮影しておられる方がいます。3月11日は全国的に「見えた」の報告の方が多くなっています。

容易に眼視で確認できなかっただけに、双眼鏡の視野に入った時は私も悦に入りました。明日も天候条件に恵まれれば観察と撮影を計画しています。

Searching for Comet Pan-STARRS (C/2011 L4)

DSC03453

昨日は西の空が高度0°の水平線まで見渡せる越前海岸まで遠征しました。雲一つない快晴でしたが、観察地に到着したのが日没30分後、撮影を始めてわずか数分で彗星は水平線の下。黄砂の影響で視界が酷く、高度の低い位置は霞で何も見えません。慌てて設定したカメラは、ISO AutoがONになっていました。

アクティブハウス越前の露天風呂「漁火」で入浴した後、敦賀まで戻って、遅い夕食はラーメン屋台「ごんちゃん」で。彗星観察地の下見を兼ねての遠征だったので、彗星を撮影することができなくてもヌルヌルした天然温泉の湯と絶品のラーメンで満足しました。305号線を露天風呂がある「漁火」まで北上すると、実際に漁火を行う漁船の光が眩しいほどなので、星の観察や撮影には適していないこともわかりました。

DSC03488

そして今日は、強風と雨。大気中に浮遊する黄砂が雨と共に地上に降りると、空は澄むはず。しかし、天気予報通りに夕方に雨が止んでも雲が西の空に居座っている。久しぶりにやって来たのは東山ドライブウェイ山頂駐車場。将軍塚は西の空が開けていて眼下に京都の町並みが一望できます。

DSC03484

近くには京都大学院理学部研究科「花山天文台」があります。1929年の創立当時は光害の影響はほとんどなかったと思いますが、現在は光害の影響が少なからずあるので太陽や惑星の研究、画像解析処理などに花山天文台は利用されているそうです。大津市出身の初代台長、山本一清博士の時代とは天文台の用途が異なります。

DSC03513

昨夜とは違い、今日は日没前にカメラを設置。Vixenポーラメーターは「彗星キャッチャー」としても使用しています。高度は10°ぐらい、方位角260°の西の空にカメラを向けて、ポラリエで追尾開始。いつでもシャッターがリリースできる状態ですが、雲が切れてくれない。

DSC03519

京都タワーの北の方、上の画像の中心から少し右よりの山の上に雲が切れれば彗星が見えるはず。

DSC03522

結局、夜景を見てから撤収することになりました。ここは数少ない京都の夜景スポットです。薄明時の撮影には慣れていないため、苦労しています。日没後の時間の経過と共にほぼ分単位で光量が変化します。ISOと露光時間を頻繁に調整しながらの撮影になり、中望遠レンズを使用する場合、被写体をフレームの中央付近に維持し続けるには赤道儀で追尾した方が良いと思います。日没30分後でISO 400ぐらいでもシャッタースピードは1〜3秒ぐらいが適正露出かもしれません。もちろん、街の光や設定するf値により、適正露出は変化するので、撮影は思っていた以上に難しい。

DSC_1518

こちらが焦点距離を広角端の70mm(換算105mm)にセットしたNikon D7000で日没30分後ぐらいに撮影した画像。現像後にクロップしてアスペクト比を16:9に変更してあります。ISO 400、f/5.6、シャッタースピード5秒でインターバル撮影。これでも空が明るく写っているので露光時間が長過ぎます。雲がなければ、この時、パンスターズ彗星は高度5°ぐらいのところにあるはず。

後日、Pan-STARRS彗星の撮影にここから再挑戦します。京都の夜景と彗星を同じフレームに収める機会は滅多にありません。

Waiting for Pan-STARRS C/2011 L4

オーストラリアのニューサウスウェールズにあるCSIROパークス電波天文台で3月5日に撮影されたPan-STARRS彗星、急速に明るくなっている様子がよくわかります。Real Image Galleryに投稿されたこの画像ファイルの説明によると、使用したレンズの焦点距離は150mm、f/4.5、ISO 1600で露光時間は5秒とのことです。

こちらの方は、75mm、f/4、ISO 400で露光時間は4秒。彗星を捉えた星景写真としたら下の写真の方がより綺麗に思います。いずれの写真もカメラはCanon 400D(Kiss X Digital)で、三脚固定撮影だと思われます。リンク先の撮影時刻は22:06:10になっていますが、多分、この時刻は画像ファイルをアップロードした時刻ではないかと思います。画像から判断すると、撮影時刻は日没後30ぐらいでしょう。

カメラの設定から推測すると、撮影後の補正も含めて天体写真に詳しくない人がデジタル一眼レフカメラ入門機を使って撮影したとしても、十分に綺麗に撮れるレベルまで、南半球では明るくなっているようです。マニュアルでの撮影が可能なコンデジでも多分、鮮明に撮影することができると思います。今週末頃から北半球でも観察できるPan-STARRS彗星、1997年のヘールボップ彗星以来の明るい肉眼彗星として期待できそうです。大陸からやって来る黄砂の影響と天候が気がかり。