昨夕は地表付近の黄砂はなし、大気中には少しあるけれども空は快晴でした。黄砂で空が霞み、大津の夜景以外は何も見えなかった火曜の観察場所から湖周道路を少し北上した所にある公園にやって来ました。いつものように商売道具を設置して「彗星キャッチャー」をカメラに載せて位置合わせをしてみたら、パンスターズ彗星が山の稜線に落ちる頃には前景(フレーム内右)に入れようとした樹木が視界を遮ることに気付き、この後、100〜200mぐらい、前方に移動しました。
Sony DSC-RX100の夕日モードで撮影した西の空には2機の飛行機が西に向かって飛んでいます。もし、1機だけなら、彗星であると勘違いする人がおられるかもしれません。彗星の尻尾はこの時期、右上方向に伸びますから確かに紛らわしいのですが、こんなに明るくは見えません。
この時期、彗星は太陽よりも少し北側に沈みます。尻尾は太陽と逆方向に伸びるので、右上方向に伸びているはずです。
移動後の西の空。彗星はずっと右の方、すでに7x50mmの双眼鏡で視野内に捉えています。少し北側にあるアンドロメダ座の視等級2.05等星のアルフェラッツが先に見えたので、彗星は2.05等級よりも暗くなっていると思われます。
琵琶湖と対岸から見る大津の夜景と彗星!夜景と低空の霞に負けないぐらいまだ明るいパンスターズ彗星をカメラで捉えました。焦点距離100mm(換算150mm)でアスペクト比を16:9に変更しながらクロップしてあります。5秒の露光で追尾していますから街灯が少し流れています。
露光5秒 x 5枚をスタック(比較明合成)し、クロップして拡大したのが上の画像。ノイズを目立たなくさせるためにホワイトバランスを大幅に青寄りに補正し、その分、彩度を下げています。彗星の核はほぼ点像に写っているのでVixen POLRIEの極軸が偶然にも合っていたのでしょう。比叡山の稜線にあるライトが左上から右下に向かって流れているのはインターバル連続撮影した痕跡。換算150mm、25秒の露光で三脚固定撮影なら街灯は点像で、逆に彗星が大きく流れて写ります。
焦点距離200mm(換算300mm)で露光5秒 x 5枚をスタックし、クロップして拡大した画像をもう一枚。スタックする前の元画像のExifデータによれば、彗星が山の稜線下に沈んだのが午後7時14分。山の高度は4°23’ということになります。こうしたデータは年末の大彗星ISON (C/2012 S1)の観察時に役立つかもしれません。
理想としては、焦点距離70〜100mmぐらいで夜景と湖を視界に入れ、山の背後に落ちて行く彗星の三脚固定撮影ですが、この後、まだ撮影チャンスがあるかどうかは天候と黄砂の濃度次第。Sony DSC-RX100の三脚固定夜景モード、広角(換算28mm)で撮影した上の画像にも彗星は写っています。等倍に拡大しなければ判別できないレベルです。