Olympus OM-D E-M1 Hands-on

Olympus OM-D  E-M1

今月上旬に発売されたOlympusのミラーレスフラッグシップ機、OM-D E-M1を京都駅前のヨドバシカメラで触ってきました。ちょうど一ヶ月ほど前にOlympusから立派なカタログとA4サイズの紙に印刷したサンプル写真、コンセプトムービーやプロカメラマン撮影の画像を収録したDVD入りの分厚い封筒が送られてきました。(2013年秋の新製品を紹介するのに何で時代遅れのDVD?)たまたま慌ただしくしていた、シンガポールに出発する日に届けられたので、封筒は未開封の状態でずっと放置していました。一ヶ月が経過してようやくその分厚い封筒を開封し、中に収められたあまりにも立派なカタログを見て、これは触りに行かなければと思い、実機を触って来たのですが…

手にした感じはOM-D E-M5を初めて手にした時と似た感じでした。E-M1はフォーサーズ規格の大口径レンズにも対応しているそうで、そのため、グリップが大きくて握りやすくなっています。価格(ボディーのみで¥144,800、12-50mm F3.5-6.3 EZレンズキットで¥168,000、12-40mm F2.8レンズキットで¥219,800、それぞれに+10%ポイント)に見合った質感であり、タッチパネル式、約104万ドットの3.0型可動式液晶の機構も不安にさせるようなことはないし、コントラストAFと位相差AFを融合させたDUAL FAST AFは何やらもの凄く速そうで、動体撮影も難なくこなせそうです。

一つ、気になった点は一眼レフカメラで言えば、ペンタ部に収められているEVF(電子ビューファインダー)の性能です。カタログにはこんなコピーが使われています。「大型電子ビューファインダー:広大な視界の先に広がる創造性。ひと目覗いた瞬間、すべての光学ファインダーが過去のものになる。」日本語コピーのすぐ上により大きな文字で英文コピーがあります。

“Electronic Viewfinder: Giving you creativity that extends your vision. Just one look into it and you will never go back to optical viewfinders”

コロンの使い方や一文目の表現から考えると、コピーの原文は英文の方だろうと思われます。”creativity that extends your vision”の部分の訳文、「広大な視界の先に広がる創造性」は誤解を招くのではないかと思います。原文が表現しようとしているのは、肉眼で見た通りに見える光学ビューファインダーではわかりにくい、被写界深度を含めたピント合焦位置、色彩や階調など、実際に仕上がるであろう画像が、EVFならシャッターを切る前にリアルタイムで確認できるということだと思います。それが人間の視覚だけでは想像できないような創造力をもたらしてくれるということです。

私は日本文コピー(大型電子ビューファインダー:広大な視界の先に広がる創造性。ひと目覗いた瞬間、すべての光学ファインダーが過去のものになる。)をカタログで読み、大きな期待を持って実機のEVFを覗いてみました。その印象は一言で言えば、「広大な視界ではなく、すべての光学ファインダーが過去のものにまだなっていない」ということ。流し撮りを想定して、EVFを覗きながら横方向にカメラを振ってみました。表示タイムラグはカタログによると、0.029秒であり、「動く被写体も快適に捉えられるレスポンスを実現」とありますが、そんなに速く振ってないのにEVFの画像が付いて来れない、つまりタイムラグを感じました。

大きなレンズを装着した時は背面液晶ではなくEVFを覗いた方が安定するでしょうから、このカメラのEVFはおまけではなく、非常に重要な部品です。その性能に満足できなければ大きなレンズを快適に使えないということになりかねます。マイクロフォーサーズ規格の小型レンズのみを装着するのであれば、EVFを使用せずにタッチパネル、可動式の背面液晶を主に使えばよいことになります。そうなると、今年の春に発売されたPEN E-P5、あるいは去年の春に発売され、価格がじわじわと下がっているOM-D E-M5の方がお買い得ではないかと思ってしまいます。

10月22日追記:残念なことにOlympusのこのフラッグシップ機は、星景写真には適していないそうです。価格.COMの掲示板スレッド、「高感度の長時間露光ノイズが異常に多い?」で長秒時ノイズリダクションをオフにして30秒以上(使用場所での気温により変動する)の露光を行った場合に、ISO感度に関係なく、酷い熱ノイズが現れるとの報告があります。ダークノイズ減算処理を行うしか方法は他にないようです。余りに酷い熱ノイズであるので減算処理を実施してもすべてのノイズを取り除くことは不可能だと思います。長秒時ノイズリダクションをオンにすれば、露光時間と同じ時間だけダーク処理しなければならず、実用的であるとは言えません。

原因は像面位相差AFを採用したローパスフィルターレスの撮像素子にあると思われます。E-P5やE-M5は優れたノイズ耐性を持つSony製のセンサーを使用しているようですが、このカメラ(E-M1)の撮像素子はSony製ではなく、別の他社製のように思われます。ファームウェアのアップデートで解決できるような問題ではないでしょうから、星景写真を撮ろうと思っている人にとっては深刻な問題です。三脚を用いた長秒時露光と言えば、星景写真、星野写真以外に、夜景や花火の撮影が考えられます。夜景の場合は長秒時ノイズリダクションをオンにすれば解決できそうですが、花火はオフにしておかないとシャッターチャンスを逃してしまいます。フラッグシップ機であれば、どんな撮影シーンでも他の自社製カメラと同等以上の優れた画質を誇るべきですが、これではフラッグシップ機とは言えないのではないかと思います。

4 thoughts on “Olympus OM-D E-M1 Hands-on

  1. もうヨドバシカメラには置いてあるのですね!
    やはりグリップが魅力的ですが、星景写真に向かないのは痛いです。(とは言ってもそんなにバシバシ)撮るわけではないですが…
    また、デザインも愛機E-M5のシルバーボディが好きです。
    ミラーレス一眼カメラは第二期に来たようです。特に付属のレンズは面白いですね。

    ちなみに今夜はいつもの場所でしょうか??

    1. コメントがスパム扱いされていました。今夜というか昨夜は月明かりが酷い状態でしたので、自宅玄関前でインターバル撮影しました。東の空で目視で確認できたのは2時間ほどで2個だけでした。

      残念なことにOM-D E-M1は熱に弱いノイジーカメラとしてレッテルを貼られそうな感じです。三脚を使って夜景や星を撮る人はE-M5かE-P5が良いと思います。

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