Comet Pan-STARRS — Rendez-Vous Avec La Galaxie d'Andromède (M31) —Part Two

At the Mouth of A Stream Flowing Into Lake Biwa

“The early bird catches the worm.”という英語の諺がありますが、二日連続で早起きした鳥は虫を捕らえることができたのでしょうか。少なくともこんな幻想的な景色は早起きしない限り、見ることができないのは事実です。ひねくれ者の私は、この諺を初めて聞いたとき、早起きした鳥ではなく、朝早くから辺りを徘徊した虫はどうなのかと思い、遅くまで寝ている自分を正当化しようとしたものです。

連日のように彗星撮影を繰り返していると、一連の手順に体が慣れ、撮影地に到着してから機材を設定して一枚目のシャッターが切れる状態になるまでの時間が大幅に短縮されました。慣れない頃は30分近く要していたのが、今では5分〜10分ほど。

P2283210

最も効率的と思われる手順を下にまとめておきます。

  1. 足場が安定していて視界を遮るものがないところに自由雲台を取り付けた三脚を設置する。
  2. ポーラーメーターの角度を観察地の緯度に合わせ、Vixen POLARIEのアクセサリーシューに取り付ける。
  3. カメラ用自由雲台を取り付けたVixen POLARIEを三脚に固定する。
  4. 磁気偏角を考慮に入れ、方位磁石の目盛と水準器を参考にしながら極軸を合わせる。(撮影地が琵琶湖周辺であれば方位角はプラス7°に合わせる。)
  5. 極軸がずれないように注意しながら、ポーラーメーターをポラリエから取り外し、被写体である彗星のおよそ2分後の高度になるよう、ポーラーメーターの角度計を設定し、一旦、ポケットにしまっておく。
  6. カメラをポラリエに載せて、星が点像に写るよう、明るい星、月、あるいは遠くに見える街灯の光を用いてマニュアルでピントを合わせる。(レンズは望遠端に設定し、液晶モニターを拡大しながら慎重にピントを合わせる。)
  7. ポケットからポーラーメーターを取り出して、カメラのアクセサリーシューに取り付ける。
  8. 磁気偏角を考慮に入れ、方位磁石の目盛と水準器を参考にしながら被写体の高度、方位角にカメラが向くようにする。
  9. ポラリエの電源を入れて、追尾を開始する。
  10. レンズを広角端にズームアウトし、その時の空の暗さを考慮に入れてISO、F値、露光時間を設定する。
  11. シャッターを切り、試し撮りをする。
  12. フレーム内に被写体である彗星が入っていること、点像に写っていることを確認し、同時に適正露出になるよう、必要に応じてカメラの設定を修正する。(星が流れて写っている場合は、極軸がずれているので、手順3に戻る。)
  13. 必要に応じて焦点距離を調節して撮影を続ける。
Comet Pan-STARRS and M31 (3226-3229 stacked)

広角端の70mm(換算105mm)でフレームのほぼ中央に彗星を捉えることができたので、数枚、露出を確認しながら撮影した後、思い切って望遠端の300mm(換算450mm)にレンズを合わせて30秒露光で連続撮影しました。4枚の画像ファイルをStarStaxでスタックしたのが上の画像。パンスターズ彗星とアンドロメダ銀河(M31)のランデブーを引き裂くように流星が流れています。人工衛星かと思い、SkySafariで調べてみましたが、この時刻(午前4時28分頃)に彗星とアンドロメダ銀河を引き裂くような軌道で通過する人工衛星は存在しないようです。

上の画像は換算450mmの望遠レンズを使い、30秒x4枚(合計2分)の露光であることを考えると、この簡易赤道儀の追尾精度の限界に限りなく近付いていると思われます。アンドロメダ銀河をもっと明るく写すには露光時間が足りません。

Comet Pan-STARRS (C/2011 L4) and M31 Over Lake Biwa

前日に失敗したので、この日は35mm単焦点(AF Nikkor 35mm f/2D)でもパンスターズ彗星がM31に急接近する様子を撮影しようと再挑戦してみました。何とか湖面と同じフレーム内に収まるよう、カメラを縦置きにしてみましたが、夜明け前の空が次第に明るくなり、長時間の露光ができないのでこの程度が限界でした。

4 thoughts on “Comet Pan-STARRS — Rendez-Vous Avec La Galaxie d'Andromède (M31) —Part Two

  1. 筆者 様

     朝焼けの写真と言い、コメットの写真、感動致しました。凄い!の一言です。良い写真を見せて頂きありがとうございます。勉強になりました。一度、この様な朝焼けを撮影してみたいものです。

    Jim,

    1. 朝焼けの写真はSony DSC-RX100を使い、絞り優先オート、三脚固定で撮影し、RAWから現像する時にそれほど補正はしていません。晴れた日の日の出前にこの場所に行けば、誰でもこの美しい景色が見れます。夜型の生活を続けている私は、これまでの人生で何か損をしているような気がしました。かと言って生活パターンを変えるつもりはないのですが。

      彗星は太陽からどんどん遠ざかっており、減光しているはずですが、空が暗い時に高い位置で撮影できるので、相対的に明るく見えます。

      1. 筆者 様

         そうですか、三脚を使っての撮影でしたか。現像も殆ど無しでこの色具合がでるとは・・凄いカメラですね。コメットがこんなにくっきり見えるのは、高い位置を狙われたので余計な光が減衰されて、くっきり見えているのですね。チュッとした配慮で、良い写真が撮れるお手本ですね。参考になりました(と言いましても、星座の写真は未だ挑戦していませんが<笑>)

         天気が良いと、滋賀の空はこんなに綺麗なのですね。

        Jim,

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