Ise Jingu Miyama Cedar — Part 3

名神京都東ICから新名神甲南ICを出て、名阪国道友生ICから伊賀コリドールロードを経由し、自宅から2時間以上を要してやっと到着したのは大西製材所。

父が外材(輸入木材)のブローカーを滋賀県下で営んでいた私にとってはどこか懐かしい景色です。

時刻は正午前。到着後すぐに間違ってお隣の製材所で作業する人に声をかけたところ、お昼の休憩か何かで大西製材所の方は不在であることがわかりました。電話をかけても拡声器のようなスピーカーから大きな呼び出し音が鳴るだけでした。

私の実家にも呼び出し音が大きく聞こえるスピーカーを勝手口に取り付けていたのを思い出しました。携帯電話がない時代に事務所にかかってきた電話の呼び出し音は外にいたら聞こえないのです。当時、個人事業主だった父はほぼ毎日のように、大阪南港(北米、ニュージーランドから輸入される木材)や舞鶴(旧ソ連材)の取引先や滋賀県内の製材所を自家用車で行き来していました。自動車電話はあっても携帯電話はなかったのです。

勝手に誰もいない製材所の敷地内に入らせていただき、トイレもお借りしました。

私にとって製材所は昔からこんな感じです。自動車の免許証を取得してから五十日と呼ばれる、5か10が付く日にドライバーのアルバイトをしたものです。前世紀末頃から外材と呼ばれる輸入木材は原木ではなく、現地で製材したものが輸入されるようになり、国内の製材所は多くが廃業しました。

今尚、残る製材所では内地材を主に製材しているはずです。家屋を建てる際に必要となる桧や杉といった針葉樹を製材すれば、建材になります。こちらに積み上げられたような板材は建材というより家具の製作に使う材のようにも見えます。

このような巨木も製材できる設備を所有する製材所が今も現役で活躍しているのでしょう。おそらく昼休みで誰も居られないのだろうと思い、我々もランチに出かけました。

Apple純正Maps appで数キロ内のレストランを検索したら数件、ヒットし、その中で古民家カフェ365日が良さそうだと思い、行ってみましたが、メニューを見て却下。ランチに一人二千円は出せない。今日の目的は大西製材所で御山杉に関する情報を得ることです。

OMSTEWオムシチュー

そこから別のレストランを探して見つかったのが伊賀市内のYumeicco。一階が八百屋さん、レストランは二階で、私はオムシチュウランチ(1,380円)、同行者はパスタランチ(1,380円)を注文。

釜揚げしらす、じゃがいも、ズッキーニ、レモンのオイルパスタ

いずれのメニューにもサラダとスープが付いていました。元々は老舗の八百屋さんだけあって、料理に使われている野菜が特に美味しい。

昼食後、大西製材所に戻りました。経営者の息子さんが作業中でした。先日、電話したものですと言ったら伝わっていたようです。

御山杉

大津市の松井工業から入手した杉の一枚板(御山杉)のことを伝えると、見せていただいたのが穴がいっぱいあるこの端材。これが御山杉の特徴だそうです。

まもなくして社長が製材所に戻ってこられました。持参した御山杉の端材を見せながら、お話しさせていただきました。間違いなく、こちらで製材したものだそうです。樹齢を数えたら240年ぐらいだったことを伝えると、「いやいやそんなものではない、もっと古い」と言われました。

近所で伐倒した杉

こういうことかもしれないので、手元にある玉切りした杉の断面を使って説明します。上の画像のように芯材の中心を通る位置でカットした材であれば、中心から辺材の端までの年輪の数を数えると、玉切りした高さでの樹齢がわかります。この杉であれば樹齢は40〜50年ということになります。

近所で伐倒した杉

松井工業を経由して我々が入手した御山杉の一枚板は幅が60〜70センチです。製材する前の原木は直径が150センチぐらいはあったそうです。(←製材所を訪れて得た情報の中でこの情報が最も貴重)我々の手元にある御山杉は元々の直径の半分ぐらいなので、上の画像の杉であれば、この辺りをカットしたものということになります。

御山杉一枚板

この部分で数えた樹齢が240年ぐらいであるとすれば、大西製材所社長が言われるように、本来の樹齢の半分ぐらいしか数えていないことになります。

御山杉一枚板

つまり、推定樹齢は500年とか?和暦で言えば、江戸時代よりも古い室町時代とか安土桃山時代になります。

黒柿

神宮杉が倒れて御山杉となり、松阪もしくは鈴鹿の木材市で落札したと社長は言われていました。その時期は台風21号の被害が私の記憶に残る2017年ですか?と尋ねると、「いやもっと前」と応えられたので、今世紀のことかどうかも怪しい。もっと突っ込んで聞けばよかった。

御山杉の情報だけ聞いて帰るわけには行かないので、栗の端材を入手することにしました。大西製材所では珍しく、家具製作などの木工の材料になりそうな広葉樹も多く扱われておられます。

高野山の杉

帰り際に同行者が高野山で伐倒された杉の老木について説明を受けたようです。穴が多いこの高野山の杉は直径75センチほど。

高野山の杉

御山杉はこの二倍ほどの直径、つまり背が少し低い人の身長ほどだったそうです。

Ise Jingu Miyama Cedar — Part 4へと続く。
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