英国の老舗釣具メーカーであるHouse of Hardyといえば、フライフィッシング用リールのメーカーとしての強烈な印象があり、フライロッドも製作しているのかという程度の知識しか持ち合わせていませんでした。そんな時に入手したのが3ピースの#3ライン用のこの比較的短いフライロッド。
Hardyの公式サイトを調べると、イングランド最北の地、ノーサンバーランドのアニックで鉄砲鍛冶をしていたハーディー兄弟が趣味である釣りを職業にしたのがHouse of Hardyの始まりだそうです。最初に製造した釣具はリールではなく、ヒッコリー材やクスノキ科の常緑樹(グリーンハート)を用いたロッド。1880年にはバンブーロッドが製品群に加えられることになる。USサイトのABOUT USのページにはこんな記載があります。
The Company was the first manufacturer to invent a system for building rods in hexagonal form from bamboo.ハーディーは竹材を六角形にして竿を製作する方法を発明した最初の会社である。
「世界で初めて」とは書いてないので、トンキンケーンを六角形に加工した竹竿を製作した「英国で最初の会社」と理解すべきなのでしょう。(その時代にはすでにアメリカでスプリットケーンロッドが製品化されています。)
10年以上前に入手したHouse of Hardyのこのフライロッドがグラスロッドであることをすっかり忘れていました。指定の#3ラインをガイドに通してフィールドで試しに振ってみたところ、当時の私の技量ではロングキャストできなかったのです。パラボリックとも言えるほどのスローアクションであり、6'6"とフライロッドとしては短いこともあり、うまくキャスティングができないのは、ロッドのせいだと決めつけていました。やはりハーディーはリールのメーカーなのだと思っていました。
しばらく使っていなかったこのグラスロッドをバンブーロッドの代わりとして使うようになり、小さなドライフライをピンポイントでプレゼンテーションできるようになりました。このロッドは豪快にロングキャストするためのものではなく、薮沢など、狭くて小さな渓流でフライラインをロッドの先端から少しだけ垂らしてショートキャストする繊細な釣りに向いていることに気付きました。ロングティペットを用いたキャスティングにも適しています。
1967年から1975年まで、ハーディーはJET's (アメリカ人ロッドデザイナーのJohn E. Trrantino)と名付けられたグラスファイバーロッドを製作しています。バンブーロッドに似たアクションで耐久性があり、好評を博したロッドでした。1998年になり、30年近く前のJET'sによく似たこのPerfection Glassロッド二種を販売します。私が入手したのは恐らくその頃だったと思います。
先日、入手した中国製スプリットケーンロッドの印象として、5月24日付けのポストに「グラファイトロッドのように軽快にキャスティングできます」と書きましたが、訂正します。このハーディー製のグラスロッドと比較した場合の印象でした。(追記:軽いグラファイトロッドのようには軽快なキャスティングはできないけれど、Hardy Perfection Glassと同様に繊細なキャスティングが可能ということです。)
付属するロッドバッグにはBY APPOINTMENT TO HRH, THE PRINCE OF WALES, MANUFACTURERS OF FISHING TACKLE, House of Hardy Ltd, Englandと書いてあります。英国王室御用達ということで、当時のフライフィッシングが特権階級の道楽として楽しまれていたスポーツフィッシングであることを窺い知ることができます。ひょっとして今も?



