Mercury, Spica, and Comet ISON (C/2012 S1)

Comet ISON (C/2012 S1) on November 20, 2013

大きな赤道儀に載せた望遠鏡直焦点で撮影したダイナミックな彗星写真は他の人に任せるとして、私は小さなポータブル赤道儀に載せた標準〜中望遠レンズで撮影することに拘ります。11月20日の明け方に東の空に姿を現した彗星ISON (C/2012 S1) は二度目のバーストを起こした直後のようで、前回、見た時(11月16日)よりもさらに明るくなっていたように思います。

拡大しないと判別できないかもしれませんが、ISONは画像の中央に核の部分が青く写っています。上少し右の明るい星がスピカ、ずっと下左の雲の切れ目に見えているのが水星です。50mm (換算75mm) のレンズであれば、スピカと水星の両方を同じフレームに収めることが可能です。

Comet ISON (C/2012 S1) on November 20, 2013

上の一枚目を撮影した時刻はExifデータによると、午前5時12分。この時、彗星の高度は+02°21’。16日はわざわざ近くに街灯がない琵琶湖岸まで行って撮影したけれども、東の地平線まで見渡せるのなら今回の撮影地の方が条件が良い。自宅からも近いし。薄明時の観察、撮影なら、もともと空は明るいし、背後に街灯があったとしてもあまり大きな影響はありません。ISOを下げて、開放から少し絞り、露光時間も短く設定しなければなりませんが。

今回、カメラ機材を設置した場所は道路のガードレールに接触するほど近いところでした。極軸はポーラーメーターを使って合わせていますが、真北から少しずれていたようです。自分の車かガードレールがポーラーメーターと干渉したかもしれません。次回は早めに撮影地に到着して、POLARIEはガードレールと車から離した方が良さそうです。

二枚目の画像はおよそ10分後に撮影したもの。周囲の星と比べると、彗星ISONの光度は4等星台だと思われます。前回(16日)も4等星台になっていたと思われますが、その後、減光していたようで、再びバーストを起こしてまた明るくなったようです。

近日点通過まで後、9日。

Comet Lovejoy (C/2013 R1) on November 20, 2013

Comet Lovejoy (C/2013 R1) on November 20, 2013
f/2.5, ISO 800, SS:20 sec., Single Shot, Tracked with Vixen POLARIE

昨晩から今朝にかけて、久しぶりに空の透明度が高く、月明かりの影響を除けば、理想に近い空でした。夜明け前のISON彗星を撮影する前に自宅ポーチから地球に最接近中(6,140万km)のLovejoy (C/2013 R1) を彗星撮影用として入手したAF Nikkor 50mm f/1.8Dで撮影。50mm(換算75mm)のレンズでこんなに大きく且つ明るく写っている。フレームの中で最も明るいということは、3等星のおおぐま座プサイ星(Lovejoyの左上に写っている明るい星)よりも明るい2等星代?

今日は正体不明のレンズフィルターなしで撮影しました。明るい大口径単焦点レンズなら、カメラ背面の液晶モニターでピント合わせするときや、目的の星をフレーム内に入れる時に非常に見やすい。

First Shots with AF Nikkor 50mm f/1.8D

Nikon D7000 with AF Nikkor 50mm f/1.8D

Nikon D7000に装着したAF Nikkor 50mm f/1.8D。純正レンズなのでボディーとの相性は抜群。このレンズにはオートフォーカスを駆動するモーターが内蔵されていないので、ボディー側に駆動モーターが必要になります。また手ブレ補正機構も搭載されていません。私が主たる被写体とする天体撮影時はそうした付加機能はいずれも不要であり、別の高級なレンズではいつもわざわざオフにしているので、初めからない方がかえって都合が良い。レンズ自体の性能が優れていれば良いのです。

このレンズにはフードも付属しませんが、巻きポカで対応します。マニュアルでピントを合わせた後、巻きポカをレンズ鏡筒に装着すれば、フード代わりになり、けられも起こりません。さらにプラスチック製の鏡筒なので、軽量であり(ポータブル赤道儀に負荷をかけない)レンズが結露しにくいという利点もあります。

Test Shot 3

最も気になる画質はどうなのか。点光源である星を撮影すれば、レンズの性能は一目瞭然。試写した上の画像をカメラの背面モニターで見て、唖然としました。周辺部だけではなく、全体的にコマ収差のようなものが現れている。たとえNikon純正の単焦点レンズであったとしてもチープなレンズは星撮りには使えないのかとがっかりしました。Made in Chinaだから、一定して品質が維持できていないのかとも疑いました。Ken Rockwell氏は画質も含めてこのレンズを絶賛しているのにどういうことなのか。

Test Shot 2

暫し、冷静に考えると、一つ、気になることがありました。使っていないフィルム時代の古いNikkorレンズ(AF Nikkor 35 - 70mm f/3.5 - 4.5)とフィルター径が52mmでたまたま同じだったので、1980年代にシカゴ郊外で買った、素性が不明であるその怪しげなフィルター(Cam-Pro 52mm 1A)が悪さをしているのではないかという疑惑です。フィルターを取り外して、再度、試写したのが上の画像。ポータブル赤道儀の極軸が少しずれていたので、星は若干流れているものの、コマ収差のようなものはなくなりました。正体不明のフィルターが原因だったようです。周辺部の減光や歪みもないし、Ken Rockwell氏が言うように、極めてシャープな画質です。

12月2日追記:怪しげなフィルターを装着した状態で撮影した、上の全体的にコマ収差のようなものが現れている画像とフィルターを取り外して撮影した、コマ収差のようなものがなくなった画像は、f値が異なっていました。後日、絞り開放(f/1.8)とf/2.0で、フィルターなしで撮影した画像にもコマ収差のようなものが現れていました。従って、原因はフィルターではなく、レンズの性能ではないかと思うようになりました。f/2.5が私にとっては妥協点です。

DSC_1032

オートフォーカスも試してみました。超音波モーター非搭載なので、駆動時の騒音は比較的大きいけれど、AF Nikkor 35mm f/2Dほどでもないし、十分に快適な速さで合焦します。美味しそうな渋柿の画像はf/4.5とそれほど絞っていませんが、画像はかなりシャープ。ほぼ意図した通りのボケ効果が得られます。大彗星の撮影以外に昼間の屋外や暗い室内での撮影にも活躍してくれそうです。

AF Nikkor 50mm f/1.8D

AF Nikkor 50mm f/1.8D

Nikon Dfと同時発売されるAF-S Nikkor 50mm f/1.8G (Special Edition)を彗星撮影用に検討していましたが、発売日が11月28日とまだ少し先であり、ISON彗星(C/2012 S1)の撮影に間に合わないかもしれないということで、旧型のAF Nikkor 50mm f/1.8Dを京都駅前の量販店で購入しました。カメラボディーを持参して、展示されていたレンズを実際にカメラに装着してフォーカスリングの感触を確かめました。

AF Nikkor 50mm f/1.8D

レンズ鏡筒はプラスチック、距離計の目盛は刻印ではなく、プリント。FX用単焦点の標準レンズとしてはNikon純正品で最も安価な大口径レンズの一つですが、5群6枚のレンズ自体には手抜きはないはず。金属鏡筒の高級レンズと比べると、高級感はありませんが、デザインと質感は申し分ありません。フォーカスリングは遊びがほとんどなく、マニュアルフォーカスに適していると思います。星撮影時は無限遠を合わせるのに苦労しますが、このレンズは比較的、合わせやすいのではないかと思います。裏蓋は別売。

AF Nikkor 50mm f/1.8D

使用説明書に記載の仕様を以下に転記しておきます。

  • Type of lens: D-Type AF Nikkor lens having built-in CPU and Nikon bayonet mount
  • Focal length: 50mm
  • Maximum aperture: f/1.8
  • Lens construction: 6 elements in 5 groups
  • Picture angle: 46º [31º30' with Nikon digital cameras (Nikon DX format); 38º with IX240 system cameras]
  • Distance information: Output to camera body
  • Focusing: Autofocus; manually via separate focus ring
  • Shooting distance scale: Graduated in meters and feet from 0.45m (1.75ft) to infinity (∞)
  • Closest focus distance: 0.45m (1.5ft) from focal plane
  • Aperture scale: f/1.8 to f/22 on both standard and aperture-direct-readout scales
  • Diaphragm: Fully automatic
  • Exposure measurement: Via full-aperture method for AI cameras or cameras with CPU interface system; via stop-down method for other cameras
  • Attachment size: 52mm (P=0.75mm)
  • Dimensions: Approx. 63.5mm dia. x 39mm (extension from the camera’s lens mount flange)
  • Weight: Approx. 155g (5.5oz)

Comet ISON Behind Clouds

天気予報通りであれば、日の出前には雲が切れて晴れるはずでしたが、自宅からすぐ近くの観察+撮影地に着くと、空の大部分を薄い雲が覆っている。暫く雲の切れ目を双眼鏡で探しましたが、彗星ISON (C/2012 S1) は見えず。Lovejoy (C/2013 R1) も雲の背後。撮影用の機材一式を車から降ろすことなく、自宅に戻りました。流星と彗星担当の元天文少年はこのような事態に慣れているので、がっかりはしていません。

天体の中でも彗星の観測や撮影には最も大きな困難を伴います。特に太陽をかすめるような放物線状の軌道を移動するサングレーザーと呼ばれる彗星は、太陽に接近するのが最初で最後なので、その光度を正確に予測することが事実上、不可能です。彗星核の構成物質の比率もそれぞれで異なるし、同じような軌道を辿っているとしても、地球からの距離もまちまち。楕円軌道を描きながら何度も周期的に太陽に近付く回帰彗星と比べると、放物線軌道を描きながら太陽に初めて大接近する彗星は、より多くの物質を放出すると考えられており、その量がどの程度なのかは誰にもわからない。そうした彗星は太陽接近時に核が分裂して消滅する可能性も高いと言われています。放出される物質の種類や量によって、尻尾の長さや色、形状が異なります。どの彗星も個性があり、過去に撮影された写真を見れば、それがどの彗星なのか、大体の見当がつくほどです。

彗星が見えるかどうかはその日の天候条件や観察地、月光の干渉程度に左右されるのは当然ながら、彗星自体の活動によって予想以上に明るく見えたり、突然減光したりもします。いつ消滅してもおかしくはない、予測不可能なそのようなサングレーザーこそ、数ある天体の中で私は最も大きな魅力を感じます。彗星ISONは期待通りに近日点通過後に立派な尾を見せてくれるかもしれません。あるいは近日点に到達する前に消滅するかもしれません。何れにしても一期一会ですから、それなりの対応で彗星観察と撮影に望む所存です。

追記:REAL TIME IMAGE GALLERYに世界各地から投稿された画像によると、現在、ISONはクラゲのような複数の尾が見えており、今にも崩壊しそうです。近日点通過まで後、11日。

Comet ISON (C/2012 S1) in the Hazy Morning Sky

Comet ISON (C/2012 S1) on November 16, 2013

広角端70mm(換算105mm)、f/4.5、ISO1000、露出20秒で追尾撮影した画像を5枚、StarStaxでスタッキング(Average +0.8)し、さらにApertureで大幅に補正してもこの程度でした。今朝の東の空は靄がかかっていて天候条件はそれほど良くはなかったです。

Mavericks対応のStarStaX experimental version 10.9で、5枚の画像を合成した時、合成モードはAverage + Increase Exposure(平均+露出増)0.8 EVを設定しました。以前のバージョンではこのモードはなかったと思います。このモードで合成することにより、一枚の画像ではほとんど判別できなかった彗星の長い尻尾が見えるようになりました。

彗星は近くに写っている星、おとめ座θ(+4.38等)と同等の明るさまで増光しており、微かに長い尾が確認できます。しかし、7x50と8x40の双眼鏡では彗星を特定できず。撮影時の彗星の高度は14ºほど。高度7º21'のSpicaはもう少し下の方にあるはずですが、低空の靄の影響で確認できないほどでした。

Comet ISON On November 16, 2013

11-15-0430

天気予報によると明朝、日の出前は晴れそうなので、急激に増光しているらしい彗星ISON (C/2012 S1) を自分の目で確認しようと計画しています。上のSkySafariスクリーンショットは、11月16日午前4時30分の東の空。ISONは高度+09º57'、方位角107º09'と、超低空にあります。この時刻ではSpicaは地平線のすぐ上にあり、まだ見えない可能性が高いので、ISONの位置は火星とArcturusを用いて大きな三角形を描くと、その頂点辺りにISONが見えるはずです。

11-16-0515

午前5時15分になると、彗星は高度18º26'まで上がり、運が良ければ高度05º58(水星のすぐ上)にある2P/Enckeも見えるかもしれません。午前4時半から45分ぐらいが観察に適していると思われます。但し、低空の空は晴れていても、靄がかかりやすく、その時の大気の湿度や光害などの条件に大きく左右されます。輝度95.77%の月は午前4時50分に西の空に沈みます。

目標とする写真は先ほどアリゾナ州フラッグスタッフで撮影されたこちら。カメラはフルサイズCMOSセンサーを搭載したCanon 6D、焦点距離85mm、f/2.0、ISO5000、露出4秒、シングルショットの三脚固定。彗星は4等代に突入したかと思われるほど明るく写っています。Wikipediaでこの町を調べてみると、標高2,100mの高地に位置する砂漠地帯にあり、冥王星の発見で知られるローウェル天文台がある町だそうです。"Dark Sky City"という別称もあるほど星の観察には適した場所らしい。

Comet ISON (C/2012 S1) Brightens Suddenly

Silver Grass

彗星ISON (C/2012 S1)の到来を待ちわびていたすべての人に対する明るい知らせがあります。昨日、ISONは突然、バーストしたようで、急激に光度が明るくなった模様です。太陽と反対側に伸びるイオンテールに加えて彗星の進行方向の逆に伸びるダストテールも見えているようです。上のススキの写真ではなく、Spaceweather.comのREAL TIME IMAGE GALLERYに投稿されたこちらの画像こちらを見れば一目瞭然。Lovejoy (C/2013 R1) よりも明るくなったと言う人も画像を投稿しています。

Sky & Telescopeの最新記事は彗星観測のベテランであるJohn Bortie氏のレポートを掲載しています。同氏によれば、11月14日朝に観測したISONは前日の朝に観測した彗星の6倍も明るくなっており、大規模なバーストが発生しているようだとのこと。近日点2週間前に発生したこのバーストが何を示唆するものであるかは判断が困難。新たな揮発性物質の一回限りの大規模放出だったのか、核が崩壊しそうになっているのか、あるいは今後も安定して光度が順調に増して行くことを示しているのかは、今後数日の観測でわかるだろうとのこと。今のところ、核は崩壊していないようです。

大幅に下方修正されたSkySafariの現在の予想光度+8.2等よりもずっと明るく、一挙に5〜6等星台にまで明るくなったように思われます。核が崩壊して観測不可能になる前に今すぐにでも確認したいところですが、生憎の曇り空で時々雨も降っています。

AA To D Battery Adapter

AA to D Battery Adapter

単3のPanasonic eneloop proと同時に単3充電池を単1形に変換するスペーサーを入手しました。標準的な単3形eneloopが1900mAhであるのに対し、eneloop proは2450mAhと容量が大きくなっています。

これまで静物の写真は専らOlympus PEN E-P1に装着したZuiko Digital 35mm F3.5 Macroで撮影していました。今回、初めてNikon D7000に装着したAF Nikkor 35mm f/2Dで撮影してみました。マニュアルフォーカスで撮影する時にピントリングの動きはZuiko Digital 35mm F3.5 Macroの方がより滑らかであり、ピントの山がつかみやすい。が、D7000 + AF Nikkor 35mm f/2Dも撮れる画像は引けを取らない。PEN E-P1はぼちぼち引き際かもしれません。

flickrembed

Flickrの新しい写真ページでブログなどに埋め込む時に必要なHTMLコードを取得できるようになりました。これでやっとコードを取得するためだけに、旧ページと新ページを行き来する必要がなくなりました。

Comet ISON (C/2012 S1) Approaches Spica on November 18, 2013

Comet ISON on November 18, 2013

太陽接近に伴い、尻尾が二本に分かれて見えるようになった彗星ISON (C/2012 S1) は徐々に光度を増しているようです。Spaceweather.comのREAL TIME IMAGE GALLERYに素晴らしい写真がアップロードされています。次に彗星を比較的、見つけ易くなるのはおとめ座α星、Spicaに接近する11月18日(月)の日の出前。

SkySafariでシミュレートした上のスクリーンショットは、18日午前5時の東南東の空、ISONは高度+11ºぐらい、方位角およそ112ºにあります。視等級1.04等のSpicaのすぐ上。Spicaを視野に捉えることができれば、7 x 50の天体観察用双眼鏡で何とか確認できるかもしれません。彗星の高度が低いので、観察地から東の空が地平線近くまで見渡せることが条件の一つになります。

StarStaX OS X Mavericks Experimental Version 0.60

StarStaXicon

貴重なMac用、天体写真合成フリーウェアである、StarStaXのMavericks対応試作バージョンが作者のMarkus Enzweiler氏のサイトからダウンロードできるようになっています。OSをMavericksにアップデート後、Version 0.60が起動できなくなり、困っていました。

先日、同氏のサイトでMavericks対応試作バージョン0.60を見つけ、ダウンロードしようとしたらそれがなぜかできなかったのですが、昨日、ダウンロードできました。

StarStaX

ダウンロードしたファイルをダブルクリックして立ち上げようとすると、見慣れない警告がありました。未確認の開発者からダウンロードしたファイルは開けない?(Mavericksで加えられた過保護でお節介な機能の一つ。)

StarStaXopen

こういう時はControlキーを押しながらファイルのアイコンをクリックし、Openを選ぶと起動します。一度、この方法で起動させれば、次回からはダブルクリックで起動できます。

securitysetting

あるいは、System Preferences... > Security & Privacy設定画面で"Allow apps downloaded from:"のAnywhereを選択すれば、どこからダウンロードしたファイルも開くことができます。しかし、セキュリティー上、問題が発生するかもしれないので、個々の開発者毎に設定できる、「Controlキーを押しながらファイルのアイコンをクリックしてOpen」がより安全です。

Orion Trail

作者の方が言われているように、試作バージョンであるにも関わらずMavericks上で問題なく動作するようです。Mavericks正式対応版はversion 0.70として12月下旬に公開されるそうです。12月下旬ならISON (C/2012 S1) には間に合いそうにないので、試作バージョンが問題なく動作して良かった。

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