RUSH

1976年のF1グランプリを舞台に性格と趣向が対照的な二人のレースドライバー、Niki LaudaとJames Huntを主人公にした実話にもとづく、Ron Howard監督の映画、”RUSH”が2月7日に封切りとなりました。この映画については、去年のF1中継で何度か話題となり、機会があれば観てみたいと思っていました。

去年のモナコグランプリでLotusのKimi RäikkönenがJAMES HUNTと刻まれたヘルメットを着用していて、F1界のボス、Bernie Ecclestoneのお叱りを受けてから特に興味を持っていました。このヘルメットは、映画の宣伝をしていたわけではなく、James Huntのグランプリ参戦開始40周年を記念したものだそうです。しかし、JAMES HUNTの名が刻まれたヘルメットを見て、私のように”RUSH”に関心を抱く人がいるでしょうから、やはり、意図したものではなくても結果として宣伝効果があったと思います。

F1中継をテレビで観ている人なら誰もが知っているであろう新作映画ですが、封切り4日後の2月11日祝日の映画館の入場者は予想通り、少ない。我々を含めて、数名程度でした。

1970年代のF1と現在のF1で最も大きく異なることはテスト走行中を含む死亡事故の発生件数であり、安全性です。この映画の舞台である1970年代は、F1ドライバー死亡事故発生件数が8件もありました。事故の多くがクラッシュ後の火災によるものだそうです。2000年代は0件。現在のF1では命を掛けているドライバーはいないと思いますが、当時は命を掛けざるを得ない危険なスポーツであったのだろうと思われます。当然ながら集まるドライバーも現在とは違ったはず。

放送に不適切な表現(英語版)がたくさん出てきます。煙草を吸ったり、お酒を暴飲したり、レース直前にゲロを吐いたり。F1といえば、大富豪の御曹司が時速300キロの世界で、人為的に作った過度のストレスを楽しんでいるというイメージが私にはありましたが、この映画を観て印象が変わりました。

慎重な性格のNiki Laudaは、顔と肺に大火傷を負った、雨のドイツGPで開かれたドライバーズミーティングで、レースの中止を訴えましたが、James Huntなどのドライバーの反対多数でレースは開催されたという経緯がありました。富士スピードウェイで雨の中、初開催された1976年最終戦の日本グランプリでも、重症から奇跡的に回復してグランプリに復帰していたNiki Laudaは途中でレースを棄権。1点差でJames Huntがワールドチャンピオンを勝ち取るという劇的なグランプリとなりました。

映画を観た後にプログラムを読んでいると、もう一度観たくなる、そんな映画だと思います。(読み応えのあるプログラムは、映画を観る前に読んだ方が良い。)加工した当時の映像と新たに撮影した映像が途切れることなく繋がっていて、どのカットが40年近く前のものなのかが区別できないほど。一部、CGが使われているようですが、ほとんどは当時のF1マシーンを実際に使って、撮影したそうです。エンジン排気音も本物。映画館で観ると迫力あります。