A G•Loomis® Rod Blank? — Part 2

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Part 1のCabela’s発注リストから21年前に少なくとも4本のフライロッドを製作したことがわかりました。現在、手元にある自作のグラファイト製フライロッドは2本であり、そのうちの1本はバットセクションに刻印があるのでLamiglas 8′ 2-pc. 4 wt.のロッドブランクから製作したことがわかっています。別の1本を現在、修復していますが、このロッドブランクの素性が不明でした。

Bellinger Reel Seat

リールシートが特徴的なメープル製なので、発注リストから95年7月23日に発注したBellingerのリールシートであることを思い出しました。この日に発注したロッドブランクは”GL3 Flyfishing Outfits”です。GLはG•Loomisの略であり、GL3はG•Loomis製グラファイトロッドのシリーズ名。この情報を元にネットでさらに調べてみると、ブランクはGL3 7’6″ 2-pc. 4wt.であることが判明しました。やはり、適合するフライラインは4番。

GL3 7'6" 2-pc. 4wt. Fly Rod Blank
フックキーパーを固定するスレッドは21年前のまま

G•Loomisを設立したGary Loomisは独自開発の機械を用いてグラファイト複合材をマンドレル(心棒)に何層にも巻いて、軽量で繊細ながらも反発力がある高品質なロッドブランクを製作した伝説的な人物です。(グラファイトをロッドブランクの素材として初めて導入したのはGary Loomisではなく、Fenwickであると言われています。1973年にシカゴで開催されたAFTMA展示会でFenwickのグラファイト製ロッドが紹介されたそうです。)

G•Loomisはルアーやフライフィッシングをする人なら誰もが知る釣竿のブランドです。創業者自身の名がブランド名となり、会社名となれば、商標登録に関して色々と厄介な問題が発生することがあります。特にその創業者が自身の会社を売却したような場合に問題は発生します。現在、”G. Loomis”や”GL3″の商標は、当初の登録者である1982年設立のG. Loomis, Inc.が所有しているようですが、G. Loomis, Inc.の現在の親会社はShimano American Corporationです。

GL3 7'6" 2-pc. 4wt. Fly Rod Blank

1995年、前立腺癌で余命18か月との宣告を受けたGary Loomisは家族に残せるものは何かを考えた結果、1997年にG. Loomis, Inc.をShimanoに売却。Shimano傘下のG. LoomisでGaryはコンサルタントとしての任務に就いたそうです。

癌は周辺臓器に転移していたそうですが、放射線治療に加えて、ザンビア5日間のハンティング旅行の際に呪術医に処方してもらった3種類の液体の薬を指示された通りに服用したら、PSA(前立腺特異抗原)の値が7.6から4ヶ月後に4.2に下がり、癌は完治したそうです。

GL3 7'6" 2-pc. 4wt. Fly Rod Blank

Gary Loomisはロッドブランクを製造販売するNorth Fork Composites (NFC) を2009年に設立、現在も意欲的に新世代の米国製ロッドブランクを製造しているそうです。商標の問題があるので、今でも自らが築いたブランド名を製品名に使用できないようです。

21年ぶりにG. Loomisのブランクを元に製作したグラファイト製フライロッドが蘇りました。