Hardy Perfection Glass 6’6" (198cm) #3

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3
光沢のあるブラック塗装のグラスファイバー製ブランク、ダークブルーとレッドのスレッドでラッピング

英国の老舗釣具メーカーであるHouse of Hardyといえば、フライフィッシング用リールのメーカーとしての強烈な印象があり、フライロッドも製作しているのかという程度の知識しか持ち合わせていませんでした。そんな時に入手したのが3ピースの#3ライン用のこの比較的短いフライロッド。

Hardyの公式サイトを調べると、イングランド最北の地、ノーサンバーランドのアニックで鉄砲鍛冶をしていたハーディー兄弟が趣味である釣りを職業にしたのがHouse of Hardyの始まりだそうです。最初に製造した釣具はリールではなく、ヒッコリー材やクスノキ科の常緑樹(グリーンハート)を用いたロッド。1880年にはバンブーロッドが製品群に加えられることになる。USサイトのABOUT USのページにはこんな記載があります。

The Company was the first manufacturer to invent a system for building rods in hexagonal form from bamboo.ハーディーは竹材を六角形にして竿を製作する方法を発明した最初の会社である。

「世界で初めて」とは書いてないので、トンキンケーンを六角形に加工した竹竿を製作した「英国で最初の会社」と理解すべきなのでしょう。(その時代にはすでにアメリカでスプリットケーンロッドが製品化されています。)

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3
6 1/2 (198cm)は6’6″

10年以上前に入手したHouse of Hardyのこのフライロッドがグラスロッドであることをすっかり忘れていました。指定の#3ラインをガイドに通してフィールドで試しに振ってみたところ、当時の私の技量ではロングキャストできなかったのです。パラボリックとも言えるほどのスローアクションであり、6’6″とフライロッドとしては短いこともあり、うまくキャスティングができないのは、ロッドのせいだと決めつけていました。やはりハーディーはリールのメーカーなのだと思っていました。

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3
ダウンロック式のリールホルダーと一体化したコルクグリップ

しばらく使っていなかったこのグラスロッドをバンブーロッドの代わりとして使うようになり、小さなドライフライをピンポイントでプレゼンテーションできるようになりました。このロッドは豪快にロングキャストするためのものではなく、薮沢など、狭くて小さな渓流でフライラインをロッドの先端から少しだけ垂らしてショートキャストする繊細な釣りに向いていることに気付きました。ロングティペットを用いたキャスティングにも適しています。

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3
光沢のあるアルミ製プラグ

1967年から1975年まで、ハーディーはJET’s (アメリカ人ロッドデザイナーのJohn E. Trrantino)と名付けられたグラスファイバーロッドを製作しています。バンブーロッドに似たアクションで耐久性があり、好評を博したロッドでした。1998年になり、30年近く前のJET’sによく似たこのPerfection Glassロッド二種を販売します。私が入手したのは恐らくその頃だったと思います。

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3
リールホルダーの金具とエンドキャップはアルミ製

先日、入手した中国製スプリットケーンロッドの印象として、5月24日付けのポストに「グラファイトロッドのように軽快にキャスティングできます」と書きましたが、訂正します。このハーディー製のグラスロッドと比較した場合の印象でした。(追記:軽いグラファイトロッドのようには軽快なキャスティングはできないけれど、Hardy Perfection Glassと同様に繊細なキャスティングが可能ということです。)

Hardy Perfection Glass 6 1/2 (198cm) #3

付属するロッドバッグにはBY APPOINTMENT TO HRH, THE PRINCE OF WALES, MANUFACTURERS OF FISHING TACKLE, House of Hardy Ltd, Englandと書いてあります。英国王室御用達ということで、当時のフライフィッシングが特権階級の道楽として楽しまれていたスポーツフィッシングであることを窺い知ることができます。ひょっとして今も?

5 thoughts on “Hardy Perfection Glass 6’6" (198cm) #3

  1. 筆者 様

     この竿の写真の最後から2枚目の写真、ふと気がついたのですが、リールの固定金具の形態が、今まで見せて頂いた写真のモノと異なり、リールに付いている固定用の金具のエンドは、竿のグリップ部分のそれもコルク生地にリール固定金具エンドが差し込める金具が4本ネジで固定のみ。勿論、反対側は。リング・スクリューでリールの固定金具を締め込んで行って固定するのですが・・。気になったのが、今回の竿の写真で、この4本のScrewで固定されて居る金具「コルクが緩んで来ると、金具の固定が緩慢になり、最終的にネジが緩んで型が来ないのかな?」と言う所です。ま、グリップ部分の材料は丸々コルクで無い事は当たり前ですが、どの様な細工で4本のネジが緩まないで金具をしっかり保持しているのか?興味の有る所です。グラスファイバー・ロッドのシャフトなので尚更、興味があります(笑)。機械屋的な見方で恐縮です(笑)。

     それにしても、この竿のグラスファイバー・ロッド表面の仕上げは非常に綺麗で、芸術的な綺麗さを感じます。フライをした事も、実際に見た事もない私でさえ感じるのですから、愛好家の方々にとっては、たまらないモノがあるのでは?と想像します。

    Jim,

    1. この形状のリールシートはHardy製品以外で見たことがありません。調べてみると、このパーツはUniversal Reel Holderと言って、Hardyが特許を取得しています。ロッドブランクはコルクグリップを貫通し、ボトムのエンドキャップの部分まで達しているはずです。ボトムの部分になると、ブランクはかなり太くなっているでしょうから、このマイナスのネジ4本はコルクグリップを貫通してグラスファイバー製のブランクに固定されているのではないかと思います。ネジを緩めてみればわかることですが、一度、緩めるとずっと緩んだ状態になるかもしれないのでやっていませんが。

  2. 筆者 様

     成る程、そうだったのですね。こんな所にもPatentが有るのですね。仰る通り、グリップエンド部分のテーパー部分の末端辺りは何層ものLayerになるので、これで、この4本のネジの固定を支えているのでしょね。分解されると緩みが出るのは必須ですから、下手にいじられては元も子もなくなりますね(笑)。

     ふと、思ったのですが、私、下手の横好きでゴルフをしますが、ドライバー・シャフトや、アイアンでもカーボン・シャフト仕様のものは、実は個人の趣味の範囲で、自分の腕を棚に上げ(笑)、Re-Shaftと言う事をしますが、その工程は何度か見学させて頂いた事が有り、素人考えでは、この様なカーボンシャフトはどの方向でも曲がり方は「同じ」と思っていましたが、実は仮に100%厚みに狂いなくテーパーシャフトが巻けたとしても、「しなり」の具合が少しの位置(要するに、クラブ・フェースに対するアライメントの位置)で変わるそうです。実際にゴルフ・クラブの販売店でその「しなり」測定を見せて頂いた事が有りますが、シャフトの中心軸を90°、45°、30°等と回した位置で、その「しなり」度合いが違うのを認識出来ました。

     こんな事で、有るドライバー・ウッドは、そのシャフトアライメントの位置が変えられるモノがあります(勿論、競技途中での変更はルール違反)。

     で、思いましたのは、多分、筆者様の様な釣り竿にも、組み立て時に「しなり」の良い方向を見つけ出して、そこにリールの位置がしっかり来る様に調整されているのでは?と思いましたので、こんな事を書いてみました(笑)。

    Jim,

    1. 仰る通り、グラファイト製のロッドブランク(ゴルフクラブで言えばシャフト)にも背骨(スパイン)があります。グラファイトロッドはかなり以前に何本か製作したことがあります。必ず背骨があるので、その反対方向にラインガイドとリールシートを取り付けるのが慣例となっています。チープな製品の一部には背骨の位置を無視したものもあります。

      1. 筆者 様

         へ〜!やはり、竿作りにもゴルフクラブのシャフトアライメントと共通する考え方が有るのですね!勉強になりました。

        Jim,

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