Comet ISON (C/2012 S1) Brightens Suddenly

Silver Grass

彗星ISON (C/2012 S1)の到来を待ちわびていたすべての人に対する明るい知らせがあります。昨日、ISONは突然、バーストしたようで、急激に光度が明るくなった模様です。太陽と反対側に伸びるイオンテールに加えて彗星の進行方向の逆に伸びるダストテールも見えているようです。上のススキの写真ではなく、Spaceweather.comのREAL TIME IMAGE GALLERYに投稿されたこちらの画像こちらを見れば一目瞭然。Lovejoy (C/2013 R1) よりも明るくなったと言う人も画像を投稿しています。

Sky & Telescopeの最新記事は彗星観測のベテランであるJohn Bortie氏のレポートを掲載しています。同氏によれば、11月14日朝に観測したISONは前日の朝に観測した彗星の6倍も明るくなっており、大規模なバーストが発生しているようだとのこと。近日点2週間前に発生したこのバーストが何を示唆するものであるかは判断が困難。新たな揮発性物質の一回限りの大規模放出だったのか、核が崩壊しそうになっているのか、あるいは今後も安定して光度が順調に増して行くことを示しているのかは、今後数日の観測でわかるだろうとのこと。今のところ、核は崩壊していないようです。

大幅に下方修正されたSkySafariの現在の予想光度+8.2等よりもずっと明るく、一挙に5〜6等星台にまで明るくなったように思われます。核が崩壊して観測不可能になる前に今すぐにでも確認したいところですが、生憎の曇り空で時々雨も降っています。

Comet ISON (C/2012 S1) Approaches Spica on November 18, 2013

Comet ISON on November 18, 2013

太陽接近に伴い、尻尾が二本に分かれて見えるようになった彗星ISON (C/2012 S1) は徐々に光度を増しているようです。Spaceweather.comのREAL TIME IMAGE GALLERYに素晴らしい写真がアップロードされています。次に彗星を比較的、見つけ易くなるのはおとめ座α星、Spicaに接近する11月18日(月)の日の出前。

SkySafariでシミュレートした上のスクリーンショットは、18日午前5時の東南東の空、ISONは高度+11ºぐらい、方位角およそ112ºにあります。視等級1.04等のSpicaのすぐ上。Spicaを視野に捉えることができれば、7 x 50の天体観察用双眼鏡で何とか確認できるかもしれません。彗星の高度が低いので、観察地から東の空が地平線近くまで見渡せることが条件の一つになります。

Comet Lovejoy (C/2013 R1) and Comet ISON (C/2012 S1)

M44 and C/2013 R1 (Lovejoy) on November 8, 2013

M44散開星団を通過したばかりのLovejoy (C/2013 R1) 、二日経てば彗星はこんなに移動します。予想に反して増光中の彗星は、70mm (換算105mm)のレンズ焦点距離で容易に撮影可能。光度は6.0等だそうですから、条件さえ良ければ肉眼でも見える明るさ。上の画像はスタック(合成)すらしていません。昨日は、7 x 50 と8 x 40 の双眼鏡で簡単に視野に捉えることができました。但し、双眼鏡で見た場合、こんなに綺麗なグリーンには見えません。星雲のようにもやっとしています。

Comet ISON (C/2012 S1) on November 8, 2013

この日の目的は近日点まで3週間を切ったISON (C/2012 S1)。いつ崩壊してもおかしくない彗星だけにしっかりと画像に記録しておこう。

Comet ISON (C/2012 S1) on November 8, 2013

おとめ座ベータ星、Zavijavaを同じ視野に入れれば、ISONは写るだろうと思い、レンズの焦点距離、ISO値、露光時間を変えながら、何枚か追尾撮影すると、カメラの背面モニターでその淡い光を確認することができました。現在の光度は8〜9等星ぐらいでしょうか。微かにエメラルドグリーンのイオンテールが写っています。上の画像で焦点距離200mm、露光41.5秒、ISOは控え目の800。現在、画像は合成したくても合成できない状況なのでシングルショットになります。(この焦点距離で撮影した画像をスタックすれば、星は流れてしまいますが。)

Predictably Unpredictable Comet ISON (C/2012 S1)

遥か彼方、オールトの雲から放物線軌道を描きながら太陽をかすめるようにして近日点を通過する彗星の光度予想ほど難しいものはありません。右のグラフは、彗星の専門家であるCIOC (NASA Comet ISON Observing Campaign) のMatthew Knight氏がまとめた11月4日付けのComet ISON (C/2012 S1) の長期光度曲線グラフ。先月頃から光度の伸び方が予想に反して鈍化しています。

点線は2013年11月28日 (UT) の太陽をかすめる近日点ですが、光度のピークは予測が極めて困難なので、意図的に表示されていません。ISONは、実際、太陽の外圏大気であるコロナの中を通過します。この時に、極度の太陽熱の放射に曝される彗星は表面が昇華。加えて太陽の巨大な引力の影響を受ける彗星には大きな構造的応力がかかります。このような要因を考えると、サングレーザーであるISONにどのような変化が起こるのか、予測は事実上、不可能。

しかしながら、NASAでは数ヶ月前から、近日点前後数時間の最大光度は-7等から+5等という、幅の広い大まかな予想を立てています。経験による推測を加味すれば、予想光度は-3等から-5等になるそうです。

Matthew Knight氏が11月5日付けで投稿したブログの記事が興味深い。ISONの今後の行方を3つのシナリオにまとめています。

ケース1:近日点よりずっと前に自然崩壊する
これまでにも明確な原因が不明で、ごく少数(1%未満)の彗星が突然、崩壊している。最近の例では2000年のC/1999 S4 LINEARと2011年のC/2010 X1 Eleninがある。ISONが崩壊する可能性は、現在の位置を考慮すると、これまでよりも高くなっているはずだ。これら二つの彗星が崩壊した位置は、ISONが今、到達しようとしている空間(太陽から0.8 AU以内)である。

ケース2:近日点の近くで破滅する
今後2週間に崩壊するという最悪の事態を避けることができたとしても、太陽熱の放射に曝されながら0.01 AUの近日点を通過するという最大の難関が待ち構えている。平衡温度は華氏5000度以上にもなり、ISONの表面と核にある塵と岩石の多くを蒸発させてしまうのに十分な高温である。しかしながら質量損失の可能性は、彗星の大きさを考えると、それほど高くはない。ISONが直径200メートル以上あると仮定(現在の推定では500〜2000メートル)すると、氷の昇華のみが原因の質量損失は回避することができるだろう。また、近日点通過時の秒速は400 km/secにもなるので、そのような高温に曝される時間はそんなに長くはない。

もし、近日点通過前に彗星が破滅すると、塵のほとんどが蒸発するので、地球上からは何も見えなくなる。しかし、近日点通過2、3日後に破滅する場合、それほど高温ではないので、崩壊時に放出された塵が美しい尻尾を形成するだろう。そのよく似た例が南半球から見えたC/2011 W3 Lovejoyの長い尻尾。C/2011 W3は2011年12月に太陽表面から10万マイル以内を通過したサングレーザーである。この彗星は、ISONの現在の位置(太陽からの距離)にあった時は未だ発見されていなかった。発見されたのは近日点の僅か19日前。C/2011 W3は彗星が完全に崩壊した2、3日後にその美しい姿が肉眼で見えた。

ケース3:無事に近日点を通過する
光度予測は困難であるが、太陽接近時に多量の塵を放出し、それが立派な尻尾になるだろう。現実味がある最善のシナリオでは尻尾の長さは数十度にも伸び、2007年のC/2006 P1 McNaughtのように早朝の空を照らすだろう。「絵に描いた餅」のシナリオであれば、1680年のサングレーザー大彗星のように尻尾が空の半分にも伸びて、核が何ヶ月にも渡って見えるだろう。

あまりに興味深い記事だったので、その半分ぐらいをちょっと楽観的に解釈しながら訳してしまいました。私がこのブログ記事を読んでいて一つ気付いたことがあります。それは、C/2011 W3 Lovejoyが近日点通過19日前に発見されたこと。同じようにサングレーザーであるC/1965 S1池谷・関彗星(1965年の大彗星)も発見は近日点通過の一ヶ月ほど前の1965年9月18日であったこと。対してISON (C/2012 S1) の発見は一年以上も前の2012年9月21日。近日点の3週間前は暗くて小さな双眼鏡ではまだ確認できないのは無理もないということです。

ケース1の自然崩壊やケース2の近日点通過前の崩壊であれば、世紀の天体ショーのためにせっかく用意した高価な双眼鏡やカメラのレンズ、赤道儀や望遠鏡はどうしてくれるのか?となるかもしれませんが、そうした機材は他の用途でも使えます。突然、明るい彗星がまた発見されるかもしれません。彗星は彗星の如く現れるものです。

A Taurid Meteor, Comet Lovejoy (C/2013 R1), and Horsehead Nebula

A Taurid Meteor

昨夜から今朝にかけては雲一つない満天の星空でした。若干の靄があるものの、月明かりの影響がなく、流星と彗星を観察+撮影するには滅多にない機会でした。Lovejoy (C/2013 R1) が高い位置に昇るのを待ちながら、おうし座流星群に属する流星を三脚固定で狙いました。

カメラ(Nikon D7000)のインターバル撮影機能を利用して連続撮影した一枚に軌跡が長い流星が写っていました。枯れた木の間を右上から右下に向けて流れています。中央やや右下の明るい星は木星。右上にオリオン座の一部が写っています。流星が写っている辺りが赤くなっているのは街灯の光。おうし座流星群は数は少ないものの、超低速の明るい流星が多いのが特徴です。目視では他にもそうした特徴の流星を数個、確認しました。

Autumn Milky Way

いつも利用しているMac用画像合成アプリケーション、StarStaxがOS X Mavericks未対応なので、Vixen POLARIEで追尾しながら、1/2星景モードで露光121.2秒の長時間撮影を試みました。天の川の密度が濃い部分が山に落ちて行きます。

M44 and Comet Lovejoy (C/2013 R1) on November 6, 2013

木が邪魔にならないところに移動して、Vixen POLARIEを再設定。最近は極軸合わせに専らポーラーメーターを使用しています。ポラリエ本体にある北極星覗き穴が使い辛いので、ポーラーメーターを使っているのですが、撮影地の磁気偏角を考慮して東に7度ほどずらせば追尾精度は思いの外、高いです。北極星が見えていたので、ポーラーメーターで極軸を合わせてから、試しに使い辛い北極星覗き穴から覗いてみると、北極星が小さな穴の中に微かに見えました。

上の画像は広角端の70mm(換算105mm)で捉えたM44(プレセペ星団)とLovejoy (C/2013 R1)。散開星団にエメラルドグリーンの彗星が接近しています。

100mm(換算150mm)、露光60.9秒でもこの小さな赤道儀はかなりの精度で星を追尾しています。被写体を追いながらカメラの向きを回転させるように移動させるわけですから、星の追尾撮影は、超低速の流し撮りとも言えます。

200mm(換算300mm)、露光60.8秒になると、許容範囲ではありますが、彗星以外の星が流れています。

300mm(換算450mm)、露光38.2秒ではどうか?彗星とM44散開星団がぎりぎり同じ視野に入りますが、上の写真は被写体ブレしたというより、ピントが合っていません。望遠ズームレンズを使用して星の撮影を行う際は、焦点距離に応じて無限遠を合わせなければなりません。これはうかつにもそれを怠った失敗作。

同じ300mm(換算450mm)、露光43秒でもピントをしっかりと合わせると、望遠端でも許容範囲に収まる写真が撮れます。しかしながら、望遠端では追尾精度の問題で、露光時間を伸ばすことができないので、淡い彗星を際立たせることができません。望遠端ではおよそ40秒の露光が限界かもしれません。

M42, Great Orion Nebula

ISON (C/2012 S1) が東の空に昇ってきましたが、7 x 50 の双眼鏡で確認することができなかったので、代わりにオリオン座大星雲を試し撮りしました。

M42, Great Orion Nebula

このカメラ(Nikon D7000)で馬頭星雲を撮影するのは初めての試みですが、意外と綺麗な紫が写りました。焦点距離200mm(換算300mm)、30秒の露光でここまで綺麗に写るとは… (Apertureで大幅に補正してあります。)

この日も双眼鏡とカメラボディー、三脚などの機材は結露でびしょ濡れになりましたが、巻きポカのおかげでカメラに装着した望遠レンズは一度も曇ることなく、快適に撮影を続けることができました。

SkySafari 3 Plus Orbit Mode

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Sky Safari 3 Plusに彗星軌道を表示するモードがあることに気付きました。太陽、地球との位置関係がひと目で確認できます。上のiPhoneスクリーンショットは今夜のISON (C/2012 S1) とLovejoy (C/2013 R1) の位置を太陽系の北から見たところ。青いラインが地球の軌道。ISONはすでに地球軌道の内側にあり、LovejoyはISONよりもずっと地球に近い。地球からの距離は、ISONが1.109971 AUであるのに対し、Lovejoyは0.545732 AUと倍ほど地球に近い。(AUはAstronomical Unitの略で地球から太陽までの距離が1天文単位)

Lovejoyは現在、地球軌道と火星軌道の間にあり、太陽から離れているので、地球から見た場合の高度が高くて観察しやすい。距離もずっと近いのでLovejoyの方が明るく見えるのも頷けます。北から見ると地球は反時計回りで、公転しているので、Lovejoyとはさらに近付き、11月19日〜20日(UT)頃が近地点。太陽に最も近付く近日点は、12月25日(UT)で、太陽からの距離は0.81161 AU。

今夜はおうし座流星群南群の極大日です。月の影響もほとんどないし、天候条件も良さそうです。母彗星である2P/Enckeは明け方に東の空に昇ります。流星の数は1時間当たり、2〜3個ほどですが、火球が飛びます。

Comet Lovejoy (C/2013 R1) — Part 2

M44 and Comet Lovejoy (C/2013 R1) on November 2, 2013

上の画像は11月2日早朝、午前2時頃にAF Nikkor 35mm f/2Dを装着したNikon D7000で撮影したM44とLovejoy。 (C/2013 R1)画像はおよそ二倍に拡大されるよう、クロップしてあります。この単焦点レンズは周縁部の減光が酷いので、暗い部分をクロップしてちょうど良い感じになります。35mm(換算52mm)、ISO 800、f/2.2、30秒間の追尾でも彗星が放つイオンテールのエメラルドグリーンが際立っています。

彗星は三脚に固定した7 x 50の双眼鏡でも微かな光を確認することができました。iOS用SkySafari+で彗星の位置を調べながら、あのもやっとしたのが多分、彗星だろうという程度です。7 x 50の双眼鏡で確認するにはある程度の経験が必要。

画面の左端にM44(プレセペ星団)を配置させました。Lovejoy (C/2013 R1)はこの後、M44の方に移動します。11月7日頃にこの散開星団に最接近するので、その頃に望遠レンズで狙おうと考えています。

Orion and His Belt

天候条件に恵まれたこの日はオリオン座が綺麗に見えていました。35mm(換算52mm)のレンズでベルトを中心に狩人オリオンの胴から足の部分が視野に入っています。敢えて、電柱の先部分を切り取らずに残してあります。

Comet ISON (C/2012 S1) — Part 1

ISON C/2012 S1

昨日の早朝、4時過ぎに撮影した画像にISON (C/2012 S1) らしきものが写っていました。100%等倍の虫眼鏡で拡大しなければ確認できないほど小さな雲状の淡い光です。Apertureに取り込んだ時にひょっとしてと思っていましたが、近日点通過1ヶ月を切って、こんなに暗いはずがないだろうから、それがISONであると認めたくはなかったのです。周囲の星の明るさと比べると、光度は8〜9等程度であると思われるので、やはりこれが現実なのかもしれません。近くに細い月が見えていたことと、薄い雲があったので、実際よりも暗く写っただけということにしておきましょう。何れにしても、上の画像が記念すべき一枚目となりました。

写真は現像後にコンポジットするつもりで露出20秒で複数枚をインターバル撮影しました。比較明合成するときに使っている、いつものStarStaxを立ち上げようとすると、クラッシュ。画像の合成ができるMac用フリーウェアとしては貴重なアプリケーションですが、Mac OS X 10.9 Mavericks未対応のようです。したがって、今のところ、画像を合成できない状態です。

Comet Lovejoy (C/2013 R1) — Part 1

C/2013 R1 (Lovejoy)

ISON (C/2012 S1) を初めて観察、撮影してみようと機材を準備するも、東の低空は薄い雲に覆われていました。雲が切れるまで、代わりに東の空、高い位置に昇っているLovejoy (C/2013 R1) を撮影してみることに。先月、9月7日に光度14.4等でオーストラリアのTerry Lovejoy氏が発見したC/2013 R1は、現在かに座にあります。

SkySafariの予想によると私が撮影した時刻の視等級は+10.1等。しかし、200mm(換算300mm)望遠レンズで捉えた画像から判断すると、7等ぐらいには明るくなっている。エメラルドグリーンの彗星は、尻尾の向きも判別できるほど。

午前4時過ぎ頃には低空の雲が切れて、東の空に赤く輝く火星が見えました。7 x 50の双眼鏡でISON (C/2012 S1) を探しましたが、眼視では確認できず。カメラをISONの方に向けて、レンズの焦点距離を変えながら、何枚か撮影してみましたが、画像に捉えることもできませんでした。私が所有する機材でISONを捉えるには時期尚早のようです。

現在、日の出前の東の空にはISON (C/2012 S1)、Lovejoy (C/2013 R1) の他に、2P/Enckeと10月20日にアウトバーストしたLINEAR (C/2012 X1) も見えているそうです。高度を考えると、現在、Lovejoy (C/2013 R1) が最も見つけやすいでしょう。

Waiting for Comet ISON (C/2012 S1)

ison1030

上の画像はSkySafariでシミュレートした10月30日午前3時頃のISON (C/2012 S1)の位置。高度はおよそ10º、東の空に昇っています。すぐ近くに見えるであろう赤い惑星、火星の5.5ºほど下の方。Nikonの双眼鏡、7×50 7.3º IF Tropicalで見えるとすれば、火星を視野の上の方に入れれば、同じ視野の下端に彗星を捉えることができるはず。彗星の尻尾は火星の方に向いていて、逆方向から太陽が昇ります。つまり、火星から離れてどんどん太陽に接近しているということです。

SkySafariの予想では視等級は+8.2等。しかし、最新の報告では9等星ぐらいだそうで、高度も低いので眼視で確認できるかどうか疑問が残ります。明後日、11月1日(UT)に彗星は地球の軌道と交差し、およそ一ヶ月後の11月28日(UT)に太陽をかすめるようにして近日点を通過します。太陽に接近する時期は、肉眼等級まで明るくなったとしても、太陽光の影響で見辛くなるだろうから、この先、核が分裂、崩壊しなければ、見頃は来月中旬とより地球に近付く12月上旬以降だろうと思われます。

Spaceweather.comのREALTIME IMAGE GALLERYに彗星を撮影した画像が多く投稿されています。ISON (C/2012 S1)に関しては、望遠鏡を用いて赤道儀で追尾しながら撮影されたものばかりでしたが、本日、200mm(換算300mm)の明るい望遠レンズを用いて三脚固定で撮影された三つの彗星(2P/Encke、C/2012 X1 LINEAR、C/2012 S1 ISON)の画像が投稿されました。ISO 3200、露出15秒で、条件さえ揃っていれば、ちょっと高級な一般的なカメラ機材で撮影可能になったと判断できると思います。

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AstroArtsの無料iOS用App「アイソン彗星を見よう( ISON 2013)」で11月1日(UT)の状態をシミュレートしてみました。ISONは地球軌道を横切り、太陽へと向かいます。来年の1月14日〜15日(UT)頃に地球がこの交差点を通過します。期待通りに彗星が明るくならなかったとしても、現時点でISONは崩壊していないので、来年の1月半ば頃には流星群が期待できます。

A Shooting Star in the Moonlit Sky

A Shooting Star in the Moonlit Sky

輝度95.22%の月が一晩中見えていて、流星観察の条件としては天候以外、今朝は最悪でした。自宅前の軒下なら月明かりが直接目に入らないので、怠慢しながらISO1000、露光25秒、長秒時ノイズリダクションオフの設定で三脚固定インターバル撮影を2時間ほど繰り返しました。

上の一枚は「オリオン座流星群に属する明るい流星です」と言っても信じてもらえそうな軌跡ですが、私の記憶ではこの流星は左下から放射点がある右上の方に流れました。したがって、別の流星群に属するものか、散在流星です。右上にオリオン座の一部、中央少し左下には木星、ふたご座が写っています。

今朝の収穫はこの明るい流星ではなく、午前2時半頃に東の低空にしし座のレグルスとアルギエバが見えていたこと。すぐ下には火星も見えている。ISON (C/2012 S1)が視界に入っているということです。吉田誠一氏のホームページによると、ISONは10月16日の時点で9.7等。私の双眼鏡ではまだ見えないだろうし、写真撮影も無理。急速に太陽に近付いているので10日もすれば、観察可能になるかもしれません。それと、2日前に、LINEAR (C/2012 X1)のアウトバーストが確認され、予想されていた14等から8.5等に急激に明るくなっているそうです。

Comet ISON (C/2012 S1) To Fly By Mars

10月1日にISON(C/2012 S1)は火星に0.07 AUまで接近。地球接近時の6倍以上も火星に接近する。この絶好の機会を利用して去年、火星に着陸した火星探査車「キュリオシティ」や火星の人工衛星を使って、ISONの撮影を試みるそうです。

ISONは現在、火星と木星の間にあり、まだフロストラインを通過していないので氷の塊ですが、火星に最接近する頃にはフロストライン通過直後なので、ガスを放出しているところを捉えられるのではないかとのことです。

Perseids 2013 — Part 5

Perseids 2013

昨夜も晴れていたので月が沈んでからペルセウス座流星群の観察と撮影に出かけました。この数日では最も薄雲が多く、午前1時頃から次第に雲の量が増えてきました。極大から45時間ほど経過しましたが、それでも一時間に数個はペルセウス座流星群に属する流星が流れていました。

Satellite Flare?

インターバル27秒で25秒露光の画像3枚をStarStaXを用いてスタックした上の画像に写っているのは流星ではなく、人工衛星です。光跡は北西から南東方向に進んでいます。当初、イリジウムフレアかと思い、iOS用SkySafari+で調べてみると、撮影した時刻にこの進路で移動するイリジウム社の人工衛星はなく、時刻と軌道から推測すると、GLOBALSTAR M062の可能性が高いことがわかりました。衛星のアンテナやソーラーパネルに反射した太陽光が数秒間、光る現象を衛星フレアと言います。画像一枚のみに写っていたら、流星と勘違いしそうですが、27×3秒間に渡って記録されているのだから、明らかに流星ではありません。

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Tracked for 06’45” on Vixen POLARIE

この日もポーラーメーターを用いて極軸を合わせたVixen POLARIEにカメラを載せて追尾撮影しています。広角レンズ(換算18mm)使用の場合、何分ぐらいの追尾撮影が許容範囲なのかを調べるためにスタックしてみました。上の画像は27秒間隔で撮影した15枚の画像をスタックしてありますから合計6分45秒の追尾。

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Tracked for 09’00” on Vixen POLARIE

さらに5枚を重ね合わせた合計9分00秒の追尾。周辺部が少々流れていますが、これは広角レンズの収差による影響もあります。結論ははっきりとしませんが、換算18mmであれば10分ぐらいは私の許容範囲であると言えそうです。主な被写体を視野の中央に持ってくれば、もっと長時間の追尾撮影ができると思います。

極軸はポーラーメーターを用いて合わせていますが、磁気偏角を考慮して7°ほど東に向けると真北を指すはずです。しかし、7°もずらすと北極星は明らかに少し西に見えます。ポラリエ本体かカメラ用雲台と干渉している可能性もあるので、7°ではなく、5°ぐらいの補正に留めると、追尾精度はより高くなる気がします。

Perseids 2013 — Part 4

Perseids 2013

極大からおよそ24時間後の8月14日午前2時半頃にペルセウス座流星群放射点からカシオペア座方向に飛ぶ明るい流星を捉えました。帰宅する前に最後に三脚固定で何枚か撮影した一枚に写りました。ISO2500、露光20秒、絞りf/2.8開放。

樹木のすぐ上に光り輝く明るい星はカペラ。おうし座プレアデス星団とアルデバランも携帯電話基地局の横に見えています。

Perseids 2013 — Part 3

StarStaX_5960-5978_lighten

8月13日午前0時25分から0時33分に撮影した2枚の画像をApertureで補正し、StarStaxで比較明合成したもの。意図した写真に近いものが撮れました。放射点から放射状に流星が飛んでいます。

StarStaX_DSC_6252-DSC_6262_lighten

上の画像はペルセウス座流星群極大時刻に近い2時56分から3時00分の間に撮影した4枚の画像を同様に比較明合成したもの。右上の2本はペルセウス座流星群に属するものではありません。人工衛星かもしれません。

眼視担当の同行者は8月12日午後11時頃から13日午前4時頃までの4時間半ぐらいの間に合計168169個の流星を確認したそうです。普通の人が一生の間に見るであろう数の流星を一晩で見たのかもしれません。私もこれだけの数の流星をペルセウス座流星群極大日に見たのは初めての体験です。